並盛中の日常/ある男子生徒の観察記録
一学期:部活(15歳ランボ視点)
……中学校の部活って結構強制なとこあるよね。
まぁ俺の場合、家庭(ファミリー)と体質(ランボさん)の事情により、文芸部の幽霊部員な訳だけど。
俺のお隣りさん…瀬戸口は帰宅部なんだそうだ。
「ねえ瀬戸口ってば、何で部活に入んないの?」
「……帰宅部だが?」
「だから、帰宅部って部活動じゃないし」
「失敬な。きちんと活動してるぞ」
「はい?何言ってんの?
帰宅部って部活動しないで家に帰っちゃう人の事でないの?」
「往々にしてそうだな。
…だが俺はきちんと活動している」
「………どんな?」
「様々な帰宅ルートを作成している」
「………はい?」
「俺の家はこの学校の学区ギリギリに位置していて、割と距離があるんだ」
「………うん」
「で、その帰路を快適化しようと思ったんだ。
一例をあげると、春の桜並木、ねこだまりの裏道、夏の河川敷、秋の紅葉が綺麗な庭、信号に引っ掛からないルートとか。
登校時であれば、犬の散歩に遭遇しやすい公園で遊ばせて貰ったり…いいぞ、ツンデレなセントバーナードとかヘタレなシェパードとか」
「………へえ」
「この3年間でノート5冊分の研究結果だ。
…教師にも、部活動評価として認めさせた」
「…ちなみに、部員は?」
「…………俺一人だが…ナニカ?」
「言ったら怒るじゃん……言うけど。
それは部活でなく同好会では?」
「…帰宅同好会では言葉の座りが悪い」
「……気にするところ、そこなんだ…」
END
『自称』平凡の瀬戸口(笑)
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