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並盛中の日常/ある男子生徒の観察記録
一学期:修学旅行4

修学旅行でのお楽しみといえば、やっぱり土産物屋は欠かせない。
家族旅行とは違って、自分の好み優先でイロイロ買える面白さも加わるからな。

俺は昭和風味な土産物が好きで、三角のペナントやスノードーム、ガイコツのキーホルダーが非常にツボだったりする。

「瀬戸口。野沢菜と茄子の浅漬け、どっちが良いかなぁ?」

「…日光なんだから、志そ巻きなんばんで良いんで無いか?」

「日光彫の表札ってカッコイイな」

「…お前の家には表札が無いのか?…自分の部屋用位にしとけ」

俺の楽しいショッピングに水を差すのは、グループ行動の牛柄くんと松尾な訳だが。

さっきから所謂、『家族へのお土産』に没頭している。
…夫婦茶碗や、『可愛い』と『気持ち悪い』のボーダーラインなキーホルダーとか、微妙なデザインのボールペンとか。

まぁ、牛柄くんも松尾も楽しそうに選んでいるから、俺もその辺には敢えてツッコミはしないが。

「すみません〜会計お願いします〜」

ウキウキと店員に話し掛ける牛柄くん。
声を掛けられた店員の笑顔が一瞬、ピキリと固まった。

……あ。
何と無く、その表情の理由に見当が付いてしまった。

「……Hello. May I help you?」

店員の応対に、今度は牛柄くんがピキリと笑顔が固まった。
…あぁ。分かった。分かったから。
そんな泣きそうな顔して俺の方を振り向くな。
つーか…中3でそのレベルの英語に涙目になるな。

「…あー、あの。
コイツ日本語通じますから…って言うか日本語しか出来ませんので」

「……イタリア語は出来るもん……」

何やらボソボソと牛柄くんは反論しているが全スルー。
…しかし、本当に難儀なヤツだな。
俺と同じ制服を着ているのに、どうしても日本の中学生には見えないからな。

「瀬戸口、酷い……」

五月蝿い。
真実は時として残酷なものだ。

「あ、俺も会計お願いします」

家族へは茶菓子と箸置きと根付を数種。
コンパクトでハズレが少ないナイスアイテムだ…と思っている。
で、俺の分はペナントとスノードームと木刀。

「一般人が木刀買ってどうするの?」

…………。

何か今、微妙な発言しなかったか?牛柄。
『一般人』ってのは何だ…おい。
そのカテゴリーの対語は何だ?

「あ…いや、その。
………木刀って剣道でしか使わなくない?」

その間は何なんだ。
何かをイメージして、それを言葉にするのを躊躇わなかったか?

「イヤイヤ!別にそんな事無いよ?
…本当に不思議だったからだよ。観光地のお土産屋さんで木刀が基本装備なのが何でかなと思って」

…………まぁ、確かに。
俺も、つい、買っている訳だが。
何て言うか、こう…『男と棒はDNAレベルで繋がっている』?
そんな感じで見ると欲しくなるんだよ。

「お客様。この木刀は刻印サービスもありますが、何か入れますか?」

…っと。
そうだった。

「あ、『洞爺湖』って入れてください」

「………ここ、日光だよ…?」





END
山本は木刀ではなく竹刀だけどね。

毎日かあさんは名作です(アニメは見てないけど)。
…銀魂はギャグの時の銀さんが好きです。

修学旅行編はこれで一応終了。


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あきゅろす。
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