六道氏と雷牛
#04
何かさ、本日のランボさんは六道氏の神経を逆なでることばかりしている…らしい?です。
先程、データの回収・分析が終わり、六道氏に纏めた物を渡したんだけど。
六道氏がそのデータを見る間、正座を申し渡されてしまった。
…何故か、先程のメディアルームにあった巨大招き猫を抱え込まされて。
陶器で出来てて意外と重いです…。
『暫く、そのまま僕の言葉を反芻していなさい』
とは一体どういう意味なのか。
うん……よく分からない……。
だってさ、調査報告の氏名記載が無かった事を咎められて、同じく報告書の内容不備を謝罪した…だけだよねぇ?
…謝り方が悪かった?
でも六道氏の言葉にはそれを咎めるものは無かった様に思う。
…仕事が遅かった?
ハッキングする前に言っていた時間より早く終わったし。
………分かんない。
取り合えず、足が痺れてきたのが辛い。
せめてサンダル脱いでから正座すれば良かったなぁ…。
サンダルのストラップが嫌な感じに足首に食い込んで…痛いです。
「…少しは、見当が付きましたか?」
机に置かれた資料を確認しながら、六道氏は声を掛けてきた。
ほんの少しだけど、ピリっとした空気。
……六道氏が何か怒っている、ってのは見当が付いてますが。
問題は『何に』怒っているのかが、皆目見当が付かないこと。
そう返事をしたら、ダメなんだろうなぁ…と言うのは考えずとも分かることで。
…ランボさん、何気にピンチな予感…。
「えっと、その…あの……」
「それだけ言い澱むのは、解らないと解釈しますが?」
「…その…あの………はい…ごめんなさい…」
「そうですか…では、もう良いです」
眉を顰め、溜息を付く六道氏。
ああ、呆れている。
…もしくは、諦められた。
……昔から俺って『そう』なんだ。
相手の望む事が出来ない、苛付かせる…そして諦められる。
言っても解らない馬鹿な奴を、相手にする気は無いと…。
今まで接点があまりなかったから、六道氏にそんな風に思われたことは多分なかったと思う。
俺が役立たずな人間なのは事実だから、文句は言えない。
…悲しくて辛くて泣きたくなるけれど。
「…ランボくん、もう正座はしなくて良いですよ。立てるようなら立ちなさい」
「………はい。ありがとうございます」
長い毛足の絨毯の上だったとは言え、足はやはり痺れていて立ち上がるのも辛いけど、近くのソファーに、もたれる様にして立ち上がる。
「時間が惜しいですね…この後の打ち合わせは移動しながら行います。良いですね?」
「…はい」
「僕は綱吉くんに移動手段の確認をしてきます。
ランボ君は歩けるようになったら、君が使用する銃器を準備して下さい」
「…分かりました」
六道氏の言葉に俺は、小さな声で返事するのがやっとだった。
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