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六道氏と雷牛
#03

仕切直して、早速データ収集を開始することに。
ボンゴレの図書室にあるメディアルーム。
そこにあるパソコンを6台ばかり借りて作業をする事にした。

天下のボンゴレだから当然、こんな遊び用のパソコンではなく、業務に使用されているハイスペックなヤツもあるんだけれど。
あんまり使い慣れていないし、仕事中の物を借りるほどでもない。

取り敢えず操作しやすいように、キーボードとモニターは3台に減らし配線し直す。
それぞれのパソコンに持っていたソフトをインストールして、6台をリンクすることで処理能力を分担する。それにより高速化を図る。
このほかにもインターネットのシステムを利用して、プロテクトを解除したりダミー回線を作ったりする、補助システムを構築する。

昨日も一昨日もアクセスしているから、対象のターニングポイントは既に把握している。
…一応の警戒を忘れないけどね。

「さて、準備完了です。
取得するデータは、顧客リスト及び幹部以外の構成員の詳細リスト、でよろしいですか?」

「…ええ…僕が幹部以外の構成員リストまで望んでいると、よく気付きましたね」

『そこまでは言わなかったでしょう?』
と六道氏。

「だって…『薬物の影響下にある子供』のリストでしょう?
通常、売人は売り物に手を出したりしませんが、此処の組織は子供を手足にしている…ハッキリ言ってしまえば消耗品扱いだ。
……かなりの確率で売人もクスリに手を出していると、俺は判断します」

最後の方は俺としても苦い思いを含んだ喋りになってしまった。
六道氏はハッキリとマフィア嫌いを公言しているけど、俺だって、こういう組織は嫌いだ。

…こんなのとボヴィーノを一緒にされたら、俺、泣いちゃいますよ?

「……そうですね…では、お願いしますね」

うっすらと笑う六道氏。
僅かに酷薄な空気を含むひんやりとした笑み。
美人さん(男の人だけど)がこういう表情すると迫力あるよね。

「…では、潜入開始します…あ…画面、あんまり凝視しないでくださいね?
はっきり言って、目、痛くなりますから」

6台のパソコンをリンクし処理能力を引き上げ、一気にセキュリティ突破やデータの吸い上げを行う。
ターゲットとなっているパソコンは市販のセキュリティソフトでは、まぁ割と良いものを使っている。
でもさ、こういう口外出来ないお仕事しているんだから、せめてインターネットに接続するの止めようよ?
便利と危険は背中合わせだから。
…まぁ、お陰で俺は非常に楽にハッキング出来る訳だけど。

高速でデータが流れてくる。
3台のモニターが激しい明滅を繰り返し、機械言語がスクロールし続ける。
膨大なデータの海から欲しい情報だけを抜き出すのは俺の仕事。

……あ。

それらしいものを発見した。メインモニターだけスクロールを止め、軽く流し読む。
……売人リストだ。まずは一つ。

俺がメインモニターをチェックする間にも左右のモニターはスクロールを続ける。
メディアルームにあった娯楽用を兼ねたパソコンのモニターだから、割と大きめな物だけど、こういう使い方をするときには、も少し小さいモニターのが良いよね…3台同時に目に入れようとすると視野が限界ギリギリ…。

今度ボンゴレにお願いして、モニターだけでも保管しておいて貰おうかなぁ。
…おっと。右のモニターで第二弾発見。
顧客リストの一部だね……一纏めにしてないのか…チェ。
地域ごとか、担当ごとに纏めているようだ。
て、ことはあと4、5個あるって事かな。

……5分程して少なくともデータ化されているリストが全てサルベージ出来たところで、取り敢えず作業中断。
設定を変えて6台の内2台だけをリンクから外す。
4台はそのままデータの吸い上げをさせておくことにする。
…今日なくなる組織だ。後の憂いが遺らないよう全て回収してしまおうかと思う。
今夜、どのような戦法をとるかは未定だが、ターゲットのPCが無事とは限らないしね。

「六道氏…リストのサルベージが一応、終了しました。
このあと引き続き、整理・欠落部の確認作業をします」

こういう作業っていつもは一人か、あらかじめ作業分担を決めたスタッフとの行動となるから、つい無言になりがち。
相手のPCに潜入を開始してからは、一言も話していなかったことを思い出して、無言で様子を見ていた六道氏に状況だけ説明する。

「……潜入開始から4分です。もう、終了したと?」

「えっと、一応、ですが。本当にざっと回収しただけなんで、分析はこれからです…予想よりデータが整理されていたので、この分だと後1時間ほど頂ければ大丈夫だと思います」

…こんなに簡単なら最初から回収しておけば良かった。二度手間になっちゃったよ。最初にハッキングしたときに、幹部以外の個人データまでは不要と判断しちゃったことが悔やまれる。
こんなとき、そうは思いたくないけど俺って馬鹿だなって思ってしまう。

「…手際、悪くて申し訳ありません」

溜め息混じりに謝罪の言葉を添える。

俺個人ではなく、ボヴィーノとしての仕事だったから、余計に落ち込む。
データの不備・不足は、ボヴィーノの看板に傷を付けるようなものだもの。

六道氏は僅かに苛立ちを含んだ表情を、何故かこちらに向ける。

「…何に、謝っているのですか?
僕は機械の事はあまり良く解りませんが、それでも君がかなりの実力者であることは理解出来ます。
そして、その手際に関心を抱いたというのに、君はそれを否定するのですか?」

「……六道氏?」

「…まだ、分からないのですね。君は」

『少し、僕の言葉の意味を考えなさい』
そう、六道氏は呟くと、作業の再開を指示した。





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※著者、PCの知識ありません。雰囲気で読んでください。ツッコミはなしで…どうかヨロシクお願いしますm(__)m


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