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そして、僕らは秘密を共有する。
#06

話しが逸れたな、と言いながらも、リボーンの機嫌は多少なりとも上向きになったようで、俺的には大変有り難かった。

「アルコバレーノの呪いについてはどの程度、知っている?」

「…呪いってのは『不老』で赤子のまま成長しない、ていう事ぐらい」

これはアルコバレーノの存在を知っている人達にとっては、ごく基本的な事だった筈。
だって何年たっても成長しないんじゃ隠しようもないことだもの。

「…そうだ。『不老』であって『不死』ではなかった」

「……え……?」

「アルコバレーノは赤子のうちに死んでしまう。
そうだな…3歳ほどで死に、また生まれ直す。それを繰り返す。
それがアルコバレーノの呪い」

淡々と話すリボーン。
あまりの内容に言葉が無い。
…リボーンが死ぬ?それを繰り返す?

「クローン体に精神だけ移植される…そんなイメージだな。それを何度も繰り返してきた。
やがて、繰り返す生まれ直しは、その新たな身体に変異をもたらした…本来、男であった筈の身体が女として生まれたんだ。
尤も、呪いで成長しないし、直ぐ死ぬ筈の身体だったから、俺もシャマルも問題にしてはいなかった。
『赤ん坊に男も女も無いからな』と言ったのは、シャマルだったか俺だったか…。どちらにしろその程度の事でしかなかった」

だが、と言葉を繋ぐリボーン。

「…しかし、今生においてアルコバレーノの呪いが解けた」

リボーンにとって、それは福音でありながら想定外の事であったであろうことは、俺でも想像出来る。

「………そして、現在に至る…と?」

「まあ、そういうことだ。
特に隠していた訳ではないが、案外気付かれないものだから返って拍子抜けだった」

「……リボーンが女の子だなんて誰が思うよ…?」

この俺様な性格に、女らしい仕草・言動など一切無い(これは精神が男なのだから当たり前なのだろうが)リボーンを相手に、女の子かも…と思う人間がいるなら会ってみたいよ?俺は。

アルコバレーノの呪いがあまりの内容で呆然としたけど、リボーンの軽口に救われる。
そのおかげで、多少なりとも思考する余地が生まれて、馬鹿みたく取り乱すことはだけは避けることが出来た。
…動揺はしてるけど。

「ま、これから先は多少聡い奴なら気づくかもな。流石に女の身体だ、多少は乳も出てきたし、男並の変声期も来ないしな」

「…そのビジュアルで乳とか言うなよぅ……。
ああ、まあ、リボーンの言う通りだとは思うけどねぇ…」

リボーンは、今まで色々予測したり、考えて来たことなのだろう…俺に知られた事に対する動揺とかはあまり無いみたい。
一通りの事は話し終えたとばかりに、ベッド横のテーブルに置いてあったドリンクを口にしている。
…ランボさんお手製の蜂蜜レモン水。セージの蜂蜜で甘味が強いけどサッパリしてて俺のお気に入り。リボーンが寝てるときに予め作ってあったんだよね。

特に警戒する様子も無くそれを飲んでいるのを見て、ホッとする。
……取り敢えずの口封じで殺される心配は無さそうで。


あ、そうだ。
リボーンがあまりにも余裕をかましてて、俺だけ色々心配したり動揺したりってのは腹が立つから、一つだけ意地悪をしてやる。

「あ、でも、このままなら速攻バレるよ?リボーン?」

「…お前がバラすってか?」

「違うよランボさんは本件に関して一切黙秘しますよ?」

パタパタと手を振りながら思いっ切り笑顔を向けてやる。
本来、フェミニストのランボさんは女の子に意地悪はしないけど。
リボーンは自身を男と認識しているんだから、その範疇には入らないもんね。

「…何だって言うんだ…?」

「これから月イチで数日間は注意してネ♪
仕事でもなのに血の気配させてたら不審に思われるから」

ドリンクを飲もうとしていたリボーンが、そのセリフにむせ返る。
……やった。ボンゴレ見ててくれました!?(見てません)
ランボさんは初めてリボーンに一矢報いました!!

「……阿呆牛……貴様…っ」

あ、リボーンもう前言撤回ですか?
俺の呼び名が元に戻ってますよ?

「なあに?リボーン?」

ああ、今の俺は人生で最高の笑顔を浮かべてる気がします!
リボーンが睨んでも恐くない位に幸せな気分。

「………あぁ、そうだな……良いことを教えてくれた…礼を言うぞ…ラ・ン・ボ」

あり?予想外の反応。
リボーンってば絶対怒って暴力に訴えると思ったんだけど?

「……そうだな。アレでバレるのは詰まらないな。
……ああ、丁度此処に全ての事情を知った牛がいるな。これからはその期間は、この牛小屋に逗留することとしよう。
……『本件に関して一切黙秘』するんだろう?ランボ?」


先程の俺に負けないくらい(って言うか明らかに勝ってる)最高の美少女の笑顔でそう言うリボーンさん……。

…………。
なんかさ、俺ってば墓穴を掘りましたか?
ちょっと、からかっただけのつもりだったんだけど、この恐い生き物との同居(毎月数日間限定)が決定してしまったようです……。



やっぱり、どんなに可愛い女の子に見えてもこの人はリボーンでした。






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あきゅろす。
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