あるのかないのかと訊かれると、あるのではないか、と答える。
でも証拠は? などと訊かれると、言葉に詰まる。
だってそれは目に見えないものだから説明の仕様がないし、触れることもできないのだから証明することができないのだ。
ではどうして私はそんな曖昧なものが存在すると思うのだろうか。
それはきっと、
「紅茶、どうですか」
小首を傾げる妻を愛しく思うからだ。
心があるから、私は妻を愛せる。
心がなければ、それはただの人の形をした何かでしかないのだ。だから心のない何かであるならば、誰かを愛することはできない。よって、心という曖昧なものは、曖昧ではあるが、私の中には確実に存在するのだ。
end.
11 0225
名 あおろば 酸欠参加SS