弱っていたから、なんてのはただの言い訳でしかない。弱っていたらなんでもしていいのか。餓死しそうなら人を食ってもいいのか。違うだろう。
「それは何と極論」
お前はそうやって私をバカにするが、同じことだろう。状況がそれなら、あれはしてもいい。
愚者な。世の中も人の脳もそんなに甘くはない。
「だから? それで俺をどうしようって?」
言い訳の次は開き直りか。幼稚園児レベルのお前を好きになった私がバカだった。
「なに、一度の浮気でお前はそうやってここまで俺を追い詰めるわけ? あの時は俺凄い落ち込んでたしつい、だろ。浮気はそれだけだし?」
過ちは回数の問題ではない。一度でも犯したならば、そこまでなのだ。二度と純白には戻れない。
「ならお前は純白ってか?」
私はお前一筋だった。
「だから?」
……。
(傷つき、呆れ果てて、返す言葉を見失った。今更流す涙などないのに、私の涙腺は緩む。愛しているからこそ、私はお前の罪を許せないのだ。浮気、それは罪だろう?)
「お、おい冗談はよせ」
死んで償え、カス。
end.
10 0629