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BASARA(+オリキャラ)小説
運命の出会い(後編)_慶次+夢吉(+α)


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・キッ・・・・・・キキッ
・・・キキキッ・・・・・・・・・

(?・・・ナンダロウ?)
 先ほどから何かが聞こえ、何やら頬に当たっている感じがした。

・・・キーッ・・・キキキッ・・・・・・
キキッ・・・キーッ・・・キキキッ・・・

(サッキカラナンダイ?・・・うるさいじゃないか。)
 その何かが段々大きくなり、頬にペチッペチッと当たっている。
 そして、ある事に気づく。
(あれっ?俺、死んでんじゃー?)
 そう思った時、耳元で先ほどから聞こえていたモノがハッキリとした。

「キキキーッ!」
「わっ!?」
 目をパチッと開けてガバリと上半身を起こす。
 そうすると、「イタタタタッ!」と身体の痛みが走り慶次はもんどり打った。
「ツーッ!・・・・・・う〜ん?」
 痛みが通り過ぎるのを待って、”痛み”がある事に先ほどの疑問がよみがえった。
(俺って、確か・・・)

 そう思いながら目を開けると、其処は・・・。

「えっ!」
 慶次が目を開けた辺り一面、煙が立ち込めていた。
 熱気が当たりから押し寄せてきて、段々目が慣れ、ココは温泉が側にある事が判った。
 そして何より・・・。

「キッ、キキッ!」
 と、横で自分に気付いてと主張しているのは、
慶次が気絶する前に会ったあの子猿だった。
「おまえ・・・もしかして(俺を)助けてくれたのか?」
 慶次は瞳を大きくして驚きながら、恐る恐る聞いてみた。
 すると、そうだ!と言わんばかりに『キキッ!』と鳴いた。
「ありがとなっ!・・・でも、お前は俺を運べそうに無いし、いったい誰が・・・。」
 元気が良い返事が返って来て、慶次はお礼に撫でてやり、
一先ず納得はしたが、子猿だけではココまで運ぶのは難しいだろうと、
目線を上げて周りを見回してみて、慶次は腰を抜かすぐらい驚いた。
「・・・う、そ!?」
 湯気が晴れて周りに居たのは、猿や猪、兎や鹿、狼や熊などが、
温泉に浸かっているという光景だった。
 そしていつの間にか寄って来ていた、一頭の熊が慶次に鼻を寄せて来た。
「えぇーっと、あんたが運んでくれたのかなぁ?」
 そう言いながら慶次は恐る恐る頬を撫でると、
まるでそうだと、いう様に頬を寄せてもっともっとと、擦り寄って来た。
「そうかい。あんたもありがとなっ!」
 そう言ってその熊の頭を抱える様に抱き寄せる。

 熊も気持ち良さそうに、慶次のしたい様にさせているのを見た子猿にしたら、
それは面白くないのか、慶次の肩に上って自身を主張する。
「キィキィッ!キィキィッ!」
「うん?・・・ああ!大丈夫!
お前が呼んで来てくれなかったら助からなかったよ。
チャンとその事は解ってるさっ!」
 子猿の頭をチョンと小指でやってニコッと笑ってそう言ってやると、
子猿もニコリ笑っているようだった。

「あっ!?そう言えば!
お礼したいんだけど、おまえさんの親は?どうせなら家族を・・・」
 気付いた様に子猿の親が居るはずと辺りを見回しながら子猿に顔を戻した時に、
慶次は言葉を詰まらせた。
 子猿の眼が哀しみの色を湛えていたので事に気付き、
掛ける言葉を直ぐに見付からなかったからだ。
(・・・そうだよなぁ・・・こんなに小さい内から一匹何て、気付かない方がおかしいよな。
人も、獣も"戦"に巻き込まれれば、・・・)
 其処まで考えて一瞬浮かんだある光景を思い出してしまい慶次は、
首を振って暗くなっていた思考を停める。
 そんな慶次を不思議そうに覗き込んで来たつぶらな瞳と慶次が眼を合わせた時、
心配させまいと笑って、慶次は頭を撫でてやりながら子猿に謝罪する。
「ご免よ〜俺が野暮なこと聞いちまってさ!
おまえは偉いねぇ。俺も見習わないとなぁ〜。」
「キキッ!」
 慶次が言った言葉がやはり解るらしく、子猿は照れたように慶次のされるまま笑っていた。
「なにかお礼したいんだけど・・・おまえ家に来るかい?
と、言っても俺の叔父夫婦の所に居候してんだけど・・・まつ姉ちゃんの飯は美味しいからさ!
おまえさえ好かったら、一緒に来ないかい?」
 子猿に何か恩返ししたくて慶次がそう提案してみたが、
相手は小さくても野生の獣で慶次は少し不安になった。
 だがそれは直ぐに晴れる。
「ウキッ!」
 そう元気に子猿は慶次の肩から飛び跳ねて慶次の目の前に着地し、
クルックルッと何度も飛んだり跳ねたりして見せた。
 それを見て慶次は受け入れてくれた子猿へ感謝を述べる。
「ハハッ!そうか!喜んでくれるのかい?・・・ありがとう。」
 微笑んでそう言った慶次に子猿も同じように笑い返してと二人(?)の世界に入っていたのだが。
 慶次の肩を突くモノが居て中断される。
「うん?・・・ああ〜ご免よ熊さん。
そうだよなぁ〜、あんたも俺を此処まで運んでくれたんだ。
あんたにもお礼しなくちゃねぇ〜・・・」
 慶次の傍で離れる事無くずっと居たらしい先程の熊が、
『自分は?自分は?』と眼で訴えていたので、
突かれて其方へ眼を向けた慶次は直ぐに察してそう言った。
 慶次の目線が外れた所で子猿はムッとして居たが、
其方を向いていない慶次は気付かないのは無理はないだろう。
 それはさて置き慶次は熊から目線を周りに移しながら、
傷に触らぬ程度の大声で他の獣にも声を掛ける。
「そうだ!何ならおまえ達もまつ姉ちゃんの飯、食べにおいでよ!
みんなで食べたらきっと美味しいからさ!」

― こうして俺は夢吉と他の獣達を連れて帰ったんだけどさ。

 利もまつ姉ちゃんも最初はびっくりしてたけど、
俺が事情を話したら直ぐに引き入れてくれてその晩は宴会になったよ。
 殆んどはその後、山に帰って行ったけど夢吉と少数は、
前田に残って今でも家族みたいに暮らしてる。

― これが俺達の出逢いの事の顛末さ!


END

《あとがき》(と、いう名の言い訳)
 『佐助慶次_運命の出会い?』の(続編?)前の出来事
・・・慶次と夢吉の出会い編(後半)!!

 如何でしたでしょう?
 動物にモテモテの慶次さん!
 夢吉ちゃんは最初から慶次は他の人間と何処か違うと見抜いていたのさ!
それで、この人(慶次)に付いて行っても問題ないと思ってそのまま傍にいるのですよ。

 こうして慶ちゃんと、まつさんの固有技の原型が明らかに!
・・・な訳ありませんよねぇ〜(←だったら良いな的な話でした☆)

 ココまで読んで頂き有難う御座いました。


作成者:葵琉璃

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