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BASARA(+オリキャラ)小説
運命の出会い(前編)_慶次+夢吉(+α)

― 何もかも疲れていたんだその頃。

 あの事件が起きてから、月日は過ぎていくばかりで。
部屋の中で伏せていても、利やまつ姉ちゃん、周りの皆が俺を心配してしまう。
 だから家からも、領内からも飛び出して、
色んな村や町をぶらりぶらりと歩いたりして、
二・三日家に帰らなかったコトも在った。

― そうして歩いてると必ず、町の中で絡まれ喧嘩を吹っ掛けられたり、
山の中で山賊と会ったり、丁度”風来坊”の異名が徐々に定着して来た頃だったっけな。

 ・・・そんな頃のある日。その日は、行く先々で朝から晩まで、
ガラの悪い輩がケンカや決闘やらで、流石の俺もクタクタの時に、
最後に野党が大量に出て来たんだ。
 何とか応戦して切り抜けられ逃げ延びたけど、怪我もあっちこっちに出来たし、
少し深い傷も二・三ヶ所在ったし、仰向けに倒れながらもう駄目だと想ったねぇ。


 だいぶ遠くの方の見当違いの方向へ、俺を探し周っている様な気配がした。
「・・・ハァ、ハァ。」
(あいつ等、しっこいねぇ〜。・・・そのまま違う所、探しに行っておくれよ。)
 仰向けになりながらそんなコト想っていたら、カサッと微かに音が聞えた。
「!?(・・・うっそー!あいつ等・・・イヤイヤ!それよりココ何か猛獣出たっけ?)」
 途中で慶次はその事に思い至って、焦り出す。
 そんな慶次がパニックになってる間も、段々カサッカサッという小さい音が、
慶次の居る方へ近づいて来る。
(・・・せめて、一太刀だけでも返せたら。もう食われようが、何されようが、仕方ないね・・・)
 そう思いながら、最後の力を振絞り刀を握り、上半身を上げてその音のする方向へ身構えていると。
「ウキッ!」
 人か、大きい形を想像していた慶次の目の前に、何倍も小さな影が躍り出て来た。
「へっ!?・・・サル?」
 驚きの余り刀を落としたのも気付かず、月明かりの中その子猿をジッと見ていると。
 その子猿も慶次に気付いたのか、フゥーッと毛を逆立て威嚇して来た。
「ハハッ!小さい体でいっちょ前に威嚇かい?
・・・ソッカ!あいつ等に俺と勘違いされたんだろけど
・・・心配しなくても、俺はもう動けないよ。」
 笑った振動で少し痛かったが、傷口を庇いながら何とか笑いかけながら、
その子猿に話しかけた。
 本当に子猿を見た時に拍子ぬけてしまい。
 慶次にはもう力が出ず段々抜けて来たので、解らないとはわかってはいたが、
何故が本当の事を口に吐いて出すしかなかった。
 すると、その額の方が少し白い部分が有る子猿が、
不思議と慶次の様子がわかったのか警戒を解き、恐る恐ると近寄って来た。
「?・・・っ!?」

 何故寄ってくるのか不思議に思ったが、段々近づいてくる子猿の身体が慶次の夜目にシッカリと確認出来たとき、彼が怪我(刀傷)をしている事が判った。
「あいつ等!苛立ってお前に刀向けたのか!!
・・・イッ!ロクでもねぇ、奴らだなーホント。」
 言っている内も、手の届く位の傍まで寄って、純粋で綺麗な眼が此方を向いている。
 その眼を見返しながら、己はもう駄目だろうと悟る。
 だが、この子猿はもしかしたら助かるかもしれないとそう思い、
懐から余り綺麗とはとは言えないが、手拭いを取り出して、
ある程度の大きさに歯で千切り、警戒しない様にゆっくりした動作で、子猿の傷の付いてる場所を巻いてやって落ちない程度に軽めに縛ってやる。
 その間大人しくされるがままになっていた子猿を
それまた不思議に想ったが、この子は意外と賢いのだろうと悟り、
言い聞かせる様に先へ行くように促した。
「俺なんか構ってないで、早く逃げな。
イズレあいつ等がココに来るかも知れねぇからなっ。・・・ソラ、行け!」
 マルで己の現在の状態にソックリなこの子猿をなんだか、自分自身に想えて、
慶次は己を託すように思いながら言葉だったのだ。
 そうして、子猿が来た方向と反対へ放してやり、シッシッと手で追い払う動作をする。
 その間も慶次の身体の彼方此方が痛かったのだが、子猿を生かすため我慢していた。
 放たれた小猿は慶次を心配そうにジーッと見ていたが、
慶次の必死な思いを感じたのか「キッ!キキッ!」と鳴いた後、
慶次に背を向けて行ってしまった。
「(ホッ)フゥーッ・・・行ったなぁ〜。」
(出来れば、達者で暮らしておくれよ。)
 そう思いながら背中から倒れた。
「うっ!・・・。」
 多少痛かったが、感覚がマヒして来たのか、もうそんなに痛いとは思わなかった。

(俺の命も残り僅かか。・・・何だかなぁ〜。)
 後数分も経たない内に己が死ぬと思ったら、
何だか目の前の木々の隙間から観える夜空の星々が段々ぼやけて見えた。
(ハハッ、涙なのか何なのかわかんなくなってきちゃったなぁー。・・・あっ、まつ姉ちゃん今頃怒ってるかなぁ〜。・・・利はその横で、まつ姉ちゃんをいなしてるかも。・・・二人には悪いことしたねぇ〜。心配させる処か、こんな所で俺の死体何て見たら・・・泣いちゃうかな二人とも。・・・ご免よ、至らぬ甥っ子で・・・でも、もう・・・これ以上は、・・・悲しまないで、ね・・・)
 己をいつも心配してくれる前田家当主の夫婦を思い出しながら意識が段々途切れて来て、
最後に見たのは、去り行く友だった男の背中と、そして仕方なさそうに笑っている己の初恋の人の声だった。

『ばかねぇー、慶次。・・・貴方には、まだ早いわよ?』


(…続く)

《あとがき》(と、いう名の言い訳)
 『佐助慶次_運命の出会い?』の(続編?)前の出来事
・・・慶次と夢吉の出会い編前半!!
 如何でしたでしょう?

 といっても後半はまだまだ作成途中なのですたい!(←誰だ!)
 最近書きたいネタが多いのに中々進まないこと進まないこと!
 進んだと思えばキャラが暴走し始めて中々終らない事終らない事・・・キャラにいじめられる日々が続きます。(泣)
 後半はいつ出来るやら・・・(汗)

 本当に暖かく見守って頂ければ幸いです。
 ここまで読んで頂きありがとうございます。

作成者:葵琉璃

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