BASARA(+オリキャラ)小説
会いたい!_利久お春+α(慶次が生まれる前)
「おっ、お春!やや児の様子は、どうだろう?」
春の部屋の襖が開き、急いで戻って来たのであろう前田利久が、
この部屋の持ち主に声を掛けた。
(・・・ホンに利久さまは、今だ出逢った頃とお変りになられませんねぇ。)
「クスッ、・・・はい、利久さま!元気で御座います。
先ほどもやや児に、中から少し蹴られてしまいました。」
公務が一段落してはその度に己の(お腹を抱えた)妻の元へと急ぎ戻る利久に、
春は笑顔で迎え、未だ初々しい夫であると心で可愛らしいお方と想いはしたのだが、
心に留めておく事にして利久の問いに答え報告した。
その傍では、春の周りの世話をしていた女中が少し離れ、
毎度くり返される二人のやり取りを微笑ましく見守りながら控えている。
春のその言葉に利久は嬉しく思い、
恐る恐ると言った感じでお春の身体を心配しながら問い掛ける。
「おおっ!お春、それはまことか!!・・・傍に寄って、触っても善いかな?」
利久の心遣いが伝わった春は、笑顔で迎え入れる。
「ええっ、遠慮は要りませぬ利久さま。
・・・あなた様の児をどうぞ存分にお触り下さいませ!」
利久はその言葉を聞きそ〜っとお春に近づき、春の腹の膨らみへと手を当てる。
(・・・ココにお春のやや児が居るのか!私がこのやや児の父となるのだなっ。)
お春の腹を擦りながら、これから生まれてくる命に利久は眼を輝かせ、
己がもう直ぐ父親となる事に心躍らせてそう思った。
そうしてその心のまま、腹の子に語りかける。
「幼名も、もう用意してあるのだ。
・・・無事、元気に生まれて来るのだぞ!早くソナタに会いたいものだなぁ〜。」
利久のその言葉に、まるで応える様に春の腹に少し変化が起こる。
「お、おっ!?」
「あら!?まぁ!」
驚きの余り、手を取り合い同時に夫婦二人声を出し、顔を双方見合わせ確認し合う。
「お春!いま・・・」
「ええっ!間違いありませぬ。中からやや児が蹴りましたね!」
「では、やや児が私の声に、反応してくれたのだな!」
春の同意の言葉に利久は、感動の余り手を震わせてそう言った。
春も我が子の反応に嬉しくなり眼の端に涙を溜めて言う。
「ええっ、ええっ!・・・そうですとも、
この子も『早くととさまに会いたい』と、そう申して居りまする。」
「おおっ、そうかそうか!私に会いたいか!」
春の涙を拭ってやりながら利久は、
感極まって春を腕の中に抱きしめ心新たに春に誓う。
「お春もやや児も、私の”最高の宝”だ!
必ず、守る・・・イヤ、守ってみせる!」
その利久の言葉に、春は嬉し涙に利久の胸に持たれて言う。
「・・・利久さま、・・・勿体無き、お言葉ですっ・・・」
― 今まで傍で聞いていた女中も貰い泣きしながら、
心で『お二人に何時までもお供致します。』とそっと固く誓うのであった。
END
《あとがき》(と、いう名の言い訳)
※若干コミック『花の慶次』ネタバレ注意!※
宗兵衛(慶次)が生まれる数日前の夫婦のほのぼのを妄想してしまいました☆
利久さんの妻の名は、コミック『花の慶次 ―雲のかなたに―』参考です。
※コミック『花の慶次』ネタバレ注意!※
初夜の際に、お春のお腹の中にやや児(宗兵衛)が居ると解り、
利久はその子ごとお春を愛すると、お春に言った後の彼は、それはも〜!
大事に!大事に!扱っていたに違いないと私は思った訳ですよ!
傍にいる人まで温かくなる位、この夫婦は仲睦ましかったと想うのです ///
そう、利まつ夫婦のオープンイチャイチャとはまた一味違う、
ほのぼの夫婦を目指してみたのですが・・・なってますかねぇ?(←感想等是非に!)
ココまでお付き合いして頂き有難う御座いました。
作成者: 葵琉璃
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