BASARA(+オリキャラ)小説
光へ向かう分岐点_慶次+オリキャラ(京暮し時代)
蜩(ひぐらし)が其処を通ったのは、本当に偶々だった。
「・・・あらまぁ〜・・・チョイと!其処のお侍さん!!生きてるのかい?」
仰向けに倒れて伸びている少し大柄の男の横には、
普通の物より大分大降りの刀が落ちているので侍であるか・・・或いは盗品かも知れないが・・・とに角、何時もはシナイのだが蜩は興味を惹かれ、駆け寄って声を掛けてみた。
すると、『・・・うう、ん〜・・・』とくぐもった声が下から聞こえて来たと思ったら、
顔が横を向いた。
「?!・・・あら、意外とイイ男じゃないのさぁ!」
そう言って蜩が揺すり起そうと片手を伸ばそうとした時。
「キキッ!!」
と、小さいモノが飛び出して来たかと思うと、
触ろうとした肩手と肩の間に入り威嚇して来た。
「あらあら、君はこの人のお付きなのかな?・・・大丈夫よ。
あちきはこの人を助けようとしてるだけでやんす。」
そうニッコリ笑って小猿に諭す様に言ってみると。
子猿からでなく、倒れたている当人から呟き(違う返事)が返ってきた。
「(ググーッ)・・・腹、減ったー・・・」
「・・・ウキッ・・・」
小猿は困ったように主人の顔を覗いているのを見て蜩は・・・。
「・・・クッ、ククッ・・・ハッ・・・」
可笑しくて腹を抱えて笑っていた。
「アハハハハハッ・・・」
「(ガツガツガツ)・・・(ゴクッ)あのさぁ〜、いい加減止まってくれないかい?」
最初から食事の用意をして貰っている間も、
ずっと思い出し笑いを繰り返して居る女性に、助けて貰っておいてなんだが、
対応に困った慶次は一応オズオズと声を掛ける。
「フフッ・・・イイじゃないのさ!”笑う門には福来る”ってよく言うんだからさぁ〜。
それにしても・・・ククッ。何年ぶりかねぇ?あちきがこんなに長く笑ったのは、ウフッ!」
まだ身体を捩ったまま答える女性に慶次は、
そう言えば名前をまだ聞いていない事を思い出した。
「・・・あっ!そう言えば、未だ名前聞いてなかったよねぇ?
俺は慶次!こっちは夢吉って言うんだけどさぁ!何て読んだら好いんだい?」
慶次のその言葉に女性コト、蜩はそう言えばと座り直して改めて話し出した。
「・・・あちきかい?ココ京では、イチニを争う一流の遊び女!
蜩ねぇさんとは、あちきの事でありんす。お見知りおきなんしぃ!」
営業用に蜩はそう言ったら慶次の眼が見る見る大きくなって、
観ている蜩はまた可笑しくなってしまった。
(このお人は本当解り易いお人でありんすねぇ!慶次殿?)
そう蜩が想っているとはつゆ知らず、慶次は蜩が考えもしなかったコトを言って来た。
「ココって京の都なのかい蜩さん!じゃあ、もしかしたらまだ、利やまつ姉ちゃんに
見つかんないかも知れないなぁ・・・良かったな夢吉!」
「ウキーッ!」
小猿と見つめ合って喜んでいる慶次を見て、蜩は頭が痛くなって来た。
(・・・もしや。あちきは、とんでもない御人を拾って仕舞ったやも、知れないやんすねぇ・・・)
どうやら家出をして来たらしい前田の風来坊に頭を悩ませる蜩が居たのだった。
― これがこれから蜩にとって運命の出逢いなのだと、この時の彼女には知る由もなかった。
END
《あとがき》(と、いう名の言い訳)
BASARA2の慶次ストーリー前、外伝ストーリー後間を私めの妄想たっぷりのオリキャラ登場話です。
幼少期と少しリンクすることも有りますが、それはまだまだ先になる事でしょう。
さて、遊び女(め)と言うのは、女郎や遊女などと同じ意味でありますが、
この蜩(ひぐらし)ねぇさんの生立ちは、後々悲しい結末へと進んで行きます。
それまでは笑い有り涙ありと、慶次が絡んでますから彼女にとって決して悪い出逢いではないのですよ!
京の祇園辺りで繰り広げられるであろう話ですが、
ポンポン色々混ざるかも知れません悪しからず。(←だって、私め京都(“府”で有り”市”で有りません)出身と言いましても南の田舎人(グスッ))
ではでは、どうなるかお楽しみながらのご観覧で願います。
ココまでお付き合いして頂き有難う御座いました。
作成者:葵琉璃
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