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BASARA(+オリキャラ)小説
天に花、地に星達_慶次(受前提の京都花街ニテ)+水月あやめ(←オリキャラ)
※ この作品だけの登場致しますオリキャラ主観で御座いますので悪しからず。 ※


―― 一日とちょっとだけ買出しも兼ねて休みを貰い仕事場から降りて出て来た京は…相変わらず賑やかで、
余所の噂を耳にすれど何所か絵空事に思える程活気づいて居た。

 仕入れも終わり京の中心部をぶらついていた"知り合いが数少ない俺"を呼び止める声が掛ったのは昼過ぎた頃だった。


「あれ?…たーまちゃんっ!よっ!ここに"下りて来てる"って、めずらしいねぇ!」

 知った声に呼ばれて振り向けば、其処には予想違わず…相変わらずの目立つ派手な格好の大がらの男…
京都花組の頭格でもある前田慶次その人で合った(京で知らぬ者が居たら先ずモグリだ)。
「おぅ!…って、慶次〜いー加減、省略して呼ぶんじゃあねぇ!だいたい、俺は〜」
 ツイツイ威勢良く返して終ってから、相手に喰って掛る様に、
毎回出会い頭に言うのが挨拶の一連に成りつつあるのだが
…名を改めさせると云う事は、成功した試しが無く…毎度毎度失敗に終わるのだと直ぐにわかる。


「はいはい!解ってるって、玉ちゃん!」
「わかってねぇだろ…ハァー…(こいつに口で勝てた例がねぇしな)まっ!いいがな」
 いい加減…もうそろそろ俺も諦めるかとも思うのだが…出会い頭の俺を見付けて嬉しそうに寄って来られると、
此方としても忘れられずに居た事に嬉しく思わない訳ではないので…挨拶代りに小言宜しく言ってしまうのだ。

「"巣"から"降りて来てる"って事は、もうそろそろ、か…もう時季、"螢が飛ぶ頃"だ。
…少しは合間みて"あのコ"ん所、行ってやんなよ?」
「あーわかってるっての!"お節介どの"…(言われなくても)後で顔見せに行くトコだったんだよ俺は!」
「(ニィ-)…判ってるなら良いさ!」

(…ん?…ちょっと…変わった、か?)
 その時一瞬見せた慶次の顔や雰囲気が、
目の前の慶次が別人に変わった様に見えて目を見張ったが、
直ぐにいつもの顔に戻ったので気のせいだったのだろうかと首を傾げた。
 そんな俺の変化に気付かず慶次はいつもの調子で言葉を続けている。

「今年もどでかいの一発期待してるぜ!"一流花火師さん"!」
「おぅよっ!"遊び人の風来坊"、今年の出来は上々だ〜
いつもみたいに(特等席で)期待して待ってな!」
「ほ〜そりゃ楽しみだぁ…そんじゃ!"玉屋の水月"さん、またなっ!」
「ああ、慶次またな!…ククッ…調子イイ奴だなぁ〜ホンとに」
 去っていく背中に声を掛けた後、慶次に久し振りに名を呼ばれてたのも在り、
俺はその場から離れ難かったが…慶次が一度去ったら後ろを振り向かない事を知っているので…行こうとして居た道に、
身体を向けると目と鼻の先の路地から知った顔が此方へと曲がって丁度俺の数歩前で此方に気付いた戸頃で在ったのだろう目を丸くして驚いていた。

「あら?まあ…ひさかたぶりね」
 艶やかな着物に身を包んで驚きから微笑んで声を掛けてくれた女人が
是から会いに行こうとしていた意中の…先刻、慶次との話題にも出ていた…俺の好い人でも在るあやめである。

「おぅ!あやめぇ〜元気してたか?」
「見てわからないの水月。それより、ねぇ、さっきの…慶さん?」
「そっ!…目敏いなぁ」
「あーら〜…妬いてくれるの?」
「全然。ってかな?"仲介者"に妬いて如何すんよ」
「そりゃ…あ!でも、私は妬くわよ」
「へ?」
「だって…あなたが下りて来る頃に限って、何時も私より始めにバッタリ会ってるじゃない」
「其れこそ偶然だろう?俺より奴さんのが、
ここ数年か"京に来るの少なく為った"ってちまたで耳にしたが?」
「ええ、まぁそうなの…祭りには必ず寄って飛び入りしてくれるんだけどさ。
私、思うんだけど…もしかしたら…"本腰"入れたのかも?って、慶さん」
「ああっ!?あの慶次がかぁ?…そうかぁ?
いつも惚れっぽいが、良い人止まりでフラレてる慶次だぞ?そんな…まさか、あいつがぁ?」
「そんなに驚くことぉ?まあ、"女の勘"ってやつだけど…案外、今年"好い人連れ"で、
(あんたの花火)見に来てくれるんじゃない?ああでも、
そうなると…"みんなの慶さん"も今年で見納めになるかしらねぇ。まっ!私は"誰かの慶さん"になっても、
慶さんが笑ってて居られるならそれでいいわ!」

「う〜ん…あいつが、ねぇ〜…」
 俺は考え深げにチラッと慶次が去った方へともう一度視線を向けた。
あやめと会話している間に人混みに紛れ込んであの派手な身なりの後姿はもう見えずジマイだったのだが、
そう云えばと先程ちらっと…少し感じた違和感の事を思い返せば、
もしかしたら…と、これ以上あやめの言葉に反論出来ないで居る。
 出会った当初から…侍の癖に恋を掲げた喧嘩好きの歌舞伎者でその癖要らぬお節介をすると…京で有名だったのだが、
そんな男とひょんな事につき合いが出来てしまい。
あまつさえ…目の前の京美人の内の一人と引き合わせて貰った文字通りの縁結び者には
…其方の縁が(訊いては居ないが、俺達と似て)過去で何か在った性か…中々だという事は、世間に疎い俺でも気付いていた。
まあ、俺とあやめを引き合わせた時点で、俺たち二人と似たモノが慶次の内に在るのだと薄々感じては居たが。
 そんな慶次に、…好いた人、かと思うと…良かったなとも(相手にご執心となると中々)会えなく為ると云う数少ないダチを取られた感とで、俺は心中ちょっと複雑だ。

「うふふっ。なにぃ…淋しいの?」
「まあ、そりゃなぁ〜…お前の次に居心地良いからな。あいつの側は創作意欲も増すほど、世界が広がって見える」

「ふふっ、そうね!実は私もそうなの…あ!?
そうそう、葵姐さんが…今年も楽しみにしてるってさ」
「ほう、そりゃ張り切りがいがあるなぁ…それであやめ、お前は?」
「もう!…楽しみに、決まってるでしょう ///」
「ははっ、なら…もう一頑張り出来そうだ!」
「現金なんだからもう!精々、気張りなさいよ!」
「任しとけって!」

...後に、あやめの予想が的中したかどうかは、この時の俺には全く知る由もない。


END

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《あとがき》(と、いう名の言い訳)
 慶次受前提の京都花街での夏前の一コマ、
この作品のみのオリキャラの花火師の水月と舞妓のあやめの中を慶次が取持った縁と云う裏設定フィクション気味です。
…京都花街の人達と慶次の台詞のやり取りって聞いててほのぼのと感じるので、ツイ絡ませてしまいたくなるんですよねぇ!

因みに…特等席は花火師の視点で見付けた絶景ポイント(注意:想像です)であやめさんと、彼女を引き合わせてくれた慶次しか教えていないとか、
慶次が花火師:水月の前に連れて来た相手は、"私めの主体の誰か"で想像致してます!


 作るにあたった事の発端は…今年('11年度)の夏も花火見てないなぁ〜と月末にふと頭を過ぎったのが切っ掛けで御座います。
まあ、気分転換に打ってましたが…季節物が相変わらず遅いのはいつもの事ですねぇ(シミジミ

[追記:って、秋初めから進め…夏スギテルカラナァ〜と放置して年越してぇ〜"宴の公式ガイド(仮)"とか視たらさぁ〜…花街スッゲー事に成ってたので予知でもあんのかと疑ったよ私めっ!?
まぁ…宴の為の準備で京の面々に話をしに来たって裏設定も在りかなぁと(作っといて何ですが)思ったしだいです。ハイ!]

 ココまで読んで頂き有難う御座いました。


作成者:葵琉璃

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