[携帯モード] [URL送信]

BASARA(+オリキャラ)小説
邂逅〜カイコウ〜_信長+慶次+α(もしも妄想シリアス)慶次別人?

― その出逢いは、本当ならもう少し先で行なわれるはずが、
何処の"運命の悪戯"か…既に出逢って居たのである。


 織田信長の傍に、誰も居ない時の事だだった。
「…小童、消されに来たか?」

 信長が視線をやった茂みから顔を覗かせた物は、
やはり年端も行かないまだ小さい童であった。

 だが、その童の眼だけは歳に似合わず、
何処か大人びている様にも何も瞳に映して居ない様にも、客観的に見えた。

「…やっぱり、解るんだねぇあんたは。
巧く隠れてたつもりだったのに、難しいなぁ〜…なんて
…"わたし"は、ただ、あなたの顔を"来るべき時"の前に見て置きたかっただけです。
気にしないで下さい"信長公"」

 そんな童は、一瞬歳相応に近い笑いを浮かべて居たが、
直ぐに元の何も浮かべぬ能面の様な顔に戻った。

 その童を興味深そうに眼を細めて見遣って居た信長は、
鼻で笑って言葉を紡ぐ。
「フッ…我と"会う"と解っていていながら、
何故"今、見る"と言うのだ?小童」

 口の端を少しだけ上げ、信長がそう問うと、
信長の目に臆することなく淡々とその小さい童は答える。
「…遠回しでも、率直に申しても"御分りになるか"解りませんが、お応え致します。
"それ"は次に会うのが、"わたしで在ってなき者"。
その時は、"わたし"はその者の一部と成っている。
…その前に"観て"おきたかったのですよ"信長公"。
…いや、"無から有へ、有から無へ変えし始まりの者"」

 そう告げた童は、何処かの巫女の様にその眼は、
信長では無く遠くを見透す様な何も映して居なかった。

「…フフッ…フハハハハハ…フン、面白い。
小童、名は何と言う?」

 信長のその問いに聴いてくるとは思わなかった様で、
一瞬パチクリと瞬き訊き返す様に信長伺う。

「"わたし"でしょうか?それとも…」
「うぬの事だ、小童」

 その信長の言葉に、一瞬小さい童は困った顔をしたのだが、
直ぐに元の顔に戻り成るべく信長が理解出来るであろう言葉を選んで話す。

「…"今"は余り詳しくご説明し難いのですが。
そうですね…"わたし"は、"わたしで在ってなき者"の"本能"で在り"力"です。
"直接"ではなく"間接"的にあなたが掲げる"天下布武"に巻き込まれてしまう者。
とでも言いましょうか…」

「フン、只の"虫"か」
 直ぐに鼻で笑い興味無さそうにそう言った信長に、
今まで一定の距離を保ち立ち続けていた童は、
首を振り即座に膝を折り肩肘を着いて報告するかのように告げる。

「いえ、違います。
何故なら、"わたし"も"わたしで在ってなき者"も、
"天下"は一切"興味"御座いません。
それに目の前に立ちはだかる事は、無いでしょう。
なんせ、"わたし"の血族も"わたしで在ってなき者"の大切な家族、
全て"信長公"の配下と成りましょうから」

「…ほう、我の駒と成ると言うのだな小童」

 若干眼を細めてそう言った信長に先程と同じ様に正直に童は告げる。

「…"全て"あなたの言葉で、"わたし"達の運命は定められてしまいますので、"ご存分に"」
「ククッ…善かろう小童。こたびの処は見逃してやろうぞ。」

 信長のこの度の許しの言葉に童は平伏する。

「在り難きお言葉、頂戴いたします。」

「だが…刃向うと解ればそなたも、そなたに係わる者達全て、
この織田信長が直々に消して暮れよう!」

「…"刃向う者"は、一人も出ること有りませんのですが…肝に、銘じて置きましょう」

 其処まで信長の方へお礼をした後、
信長へ忠告する様に童は続けて告げる。

「ですが、最後に一つ。
"どんなに足掻こう"とも、"あなた様"も"わたし"も所詮、
"天下"に観入られて仕舞った"憐れな生贄"で御座います。」

「ほう。ならば小童、"小童で在ってなき者"とは、何者ぞ?」

「あなたの対に等しい"無から有へ、有から無へ帰す者"。
ある意味、同族にも等しいでしょうね」

「フッ…フハハハハハ…では、会い見えること楽しみして置こう。」
「では…いずれ…」
 童がそう言った途端、彼の周りに小さな竜巻が起こり一瞬で風は彼と共にかき消えた。
…幻想的な春に咲くはずの花弁を軌跡の様に一時残して。

「フン…たしか、"犬"の兄が養子の申し立てが在ったよのう…その養子は、
"草"のもの連れであったはず…フフッ…たしかに、真面白き"小童"であるなぁ…」


 後に全てが終わった後に信長の元へ来た濃姫は首を傾げる。
(…如何されたのかしら、上総介様は?)
其処に居た信長がいつもより愉しそうに眼を細めていたからだ。


― それは未だ、織田信長が全国に知れ渡り始めた少し前の頃の話である。


END

--------------------------------------------------------------------------

《あとがき》(と、いう名の言い訳)
 戦国BASARA慶次総受、又はその他で挑戦中だったのですがね…
こんなに"信長公が"難関だったとはっ!
(若干不完全燃焼中…足りない描写はこれ以上入れると逆に想像が壊れそうで微妙なんですよ〜:泣)
…途中、何度言葉だけにしてやろうかと、サジを投げ掛けては何とか進めてはや数ヶ月。
ダイロクテンマオウ様の脅威が恐かったので、何んとか形にはしましたコトヨ;(ブルブル)

 第六天魔王と呼ばれる少し前の信長公とちび慶ちゃん。
 設定的には、BASARA風で慶ちゃんに巫女的な力が在りまして、
小さい頃は度々表に出ていたのでは、…と勝手に妄想。(基本:戦国BASARA、若干:【花の慶次】情報入)

 記述とか人物関連の本とか読んでる内に、
信長公も慶次も、何だか私めには本質的に"表"と"裏"の存在の様にも思えたものでツイツイ(笑)
"+"か"×"。どちらにするか迷いましたが此処は"+"に妄想しときました。
信長公で考えると…(多分、松永とちょっと違う略奪?とかで)ちょっと怖い感じがしましたので…いつかは、やるかな?

※ 有か無かの感想などBBS等に書き込んで貰えると嬉しいです…ハイ! ※


 ココまで読んで頂き有難う御座います。


作成者:葵琉璃

[*前へ][次へ#]

11/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!