過去拍手文
D
その後、サバはオジイが捌いて味噌煮にする事に決まった。
他の魚はみそ汁に入りきらなかった貝と一緒に七輪の上で亮といっちゃんが焼いている。

ダビデは秋に向けて新しいダジャレが出来たって喜んでたけど…
ま、きっと箸が転がっても面白いお年頃なんだよ、アイツは。


「バネ…」

「あ?」


縁側に座って面白可笑しく皆の様子を眺めてたらサエに声を掛けられた。
女子はサエの、この笑顔に騙されちまうんだろうなー…なんて考えてたらサエが俺の隣に腰を下ろした。


「なんで今日は剣太郎とダビデの事、あんなに心配したんだい?」

「なー。ったく、なんでだろ…自分でも分からねぇや。」


台所で首藤と一緒に剣太郎とみそ汁作りに励むダビデの背中を見ながら考える。
よく考えてみたら、そんなに心配する必要なんかなかった。
もしかして、さっきのもやもやと関係してんのか?


「バネ…」

「んだよ。」

「ずっと、このままのバネで居てくれよな…」


サエが俺の肩に頭を預けて来た。
泣いてるのか…?
サエは下を向いてるから俺からサエの表情を確認する事は出来ないけど、
多分泣いてる…


「ったり前だろ。」


サエの背中をそっと摩った。サエの言葉と涙の意味も分からずに。
今日は、何が何だか解らねぇや。

きっとこれは、暑すぎる夏のせい…



END



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