過去拍手文
D
ねぇ、この思いが届かないなら
せめて教えて?

その人が海堂先輩を本当に幸せに出来る人間なのか。


「ぅわっ!」


そんな事を考えてたら誰かにぶつかった。
夕日の加減で顔が見えない。


「すみません、大丈夫ですか?おや…」


転んだ俺に手を差し延べてくれたのは見覚えのある他校の選手。
何で引退した人が此処(青学)に?


「どーも。」

「今練習が終わったのですか、お疲れ様です。ところで…まだ海堂薫君はいらっしゃいますか?」


その言葉に、全ての糸が繋がった。


「海堂先輩ならまだ自主練してるよ。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「ねぇ、アンタ…」

「…何でしょう?」


二人の間に重い沈黙が流れる。
きっと俺が作ってるんだろうけど。


「海堂先輩に悲しそうな瞳ばっかさせてたら俺が許さない。」


俺は返事を待たないで走った。

俺が初めて失恋を知った日。
俺が負けを感じて泣いた日。

きっと海堂先輩は幸せそうに、綺麗に笑ったんだろうな…





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あきゅろす。
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