過去拍手文
柳生×海堂前提の場合
10月19日
立海
部活も引退し、俺達三年は高校受験に向け各々勉強に明け暮れる日々。
まぁ、例外はあるのだが…
いつも勉強を熱心にし、煮詰まるのではないかとすら思う柳生が、今日は機嫌が良いようだ。
「今日は機嫌が良さそうだな。何かあるのか?」
「真田くんに解る程、顔に出てしまっていますか。」
柳生の言葉にムッとするも、これほどまでに機嫌の良い柳生も珍しいので気にしない事にする。
「今夜、大切な人に会えるのですよ。」
「ほぅ…」
女か。
柳生にそのような関係のある者があるとは知らなかった。
「最近は私の勉強が忙しかったので会えなかったのですが、今日くらいはと我儘を。」
今日は何の日だっただろうか。
柳生が我を通し恋人に会いたいと言う位なのだから、記念日か何かだろう。
「おい、柳生。」
「仁王くん、何でしょう…」
「ほれ、俺のクラスの女子からお前に誕生日プレゼント渡してくれと頼まれての。」
「そうですか。しかし…」
「直接渡して突き返されんのが怖かったんじゃろ。俺ん突き返すのも可哀相じゃし…食い物なら皆で食っちまえばえぇ。」
今日は柳生の誕生日だったのか。
数個の小包を広げ始める仁王を横目で見ながら、柳生が恋人を溺愛しているのが容易に想像出来た。
「すまない、お前の誕生日だと言う事を忘れていて何も用意してないが…誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「真田も食いんしゃい。」
そう言われた途端、口の中に甘い香りが広がる。
どうやら仁王にクッキーを口に入れられたようだ。
一度口に入れた物を出すのも失礼なので、そのまま頂く事にした。
「それにしても、柳生が溺愛する女と言うのが想像出来んな…」
今までにも校内で女と二人でいる柳生を見た事もあるが、あまりベタベタとした付き合いではなく
割と大人の付き合いだったと俺ですら思う。
「薫は、本当に素敵な恋人ですよ。サラサラとした黒髪に、ぱっちりとした睫毛の長い瞳に私の全てが見透かされていそうで…それに、ふっくらとした唇も柔らかくて、すらっと長く伸びた手足、どれを取っても美しい…」
柳生の話しを聞いて青学の海堂を想像してしまった。
まさか、な…
「薫は見た目も美しいのですが、何より心が綺麗で…」
その後も柳生の惚気は続いた。
「誰じゃ、コイツの事を紳士だなんて言い出した奴は。」
ま、とにかくめでたい日だな。
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