過去拍手文
佐伯×黒羽の場合
10月1日
六角中


「あの、佐伯くん!」

「俺かい?」


移動教室での授業が終わって教室に帰る途中、廊下で見馴れぬ女子に呼び止められた。
誰だろう…いつも応援に来てくれてる子猫ちゃん達の一人かな?

一緒にいるクラスメート達に先に教室へ行ってくれと頼めば茶化されたが、そんな事は日常茶飯事だから慣れたけど。


「あの、急に呼び止めてごめんね?今日、佐伯くんの誕生日だから…」

「あぁ、構わないよ。気にしなくていいからな。」

「これ、受け取って下さいっ!」


勢い良く差し出されたのは小さな小包。
俺は受け取って、その手にそっと口付けた。


「ありがとな!嬉しいよ。」


クスッと笑えば頭を下げて走り去る子猫ちゃん。
そして、子猫ちゃんと入れ代わりで現れたバネ。


「相変わらずモテモテだな、色男。」

「妬ける?」

「ハッ…」


…鼻で笑うなよ。
仮にも俺達付き合ってるんだから。
教室に戻れば、俺の机の上には山積みの誕生日プレゼント。


「ちゃんと直接渡してくれれば、ほっぺにキスくらいのお返しならするのに…」

「お前に翻弄されてる女共が可哀相だ。」


さて、このプレゼントの山をどうやって持ち帰ろうか…


「サエ。ほら、使えよ。」


バネから渡されたのは、畳まれた大きめの紙袋四つ。


「帰り、家まで運ぶの手伝ってやるよ。」

「バネ…」


バネの何気ない心遣いが嬉しい。
紙袋と一緒に渡されたバースデーカード。


「紙袋が俺からのプレゼントな。」


ニカッと笑うバネに俺の頬も緩んでしまうよ。
最高の誕生日をありがとう。






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