※官さんが後天性にょたで清正がアワアワする話です。 ※gdgdですみません>< 〜〜 桜散り青葉が茂る卯月の暮れの日のこと。それは余りにも突然に、何の前触れもなく起こった。 そう、俺の目の前で。 <仙人からの贈り物> 「…というわけで、官兵衛殿にこれを返してきて欲しい」 三成が顎で示す先を見ると、赤茶色の陶器が机の上に並べられていた。茶碗一式、といったところだろうか。俺は所狭しと並ぶ陶器群から視線を三成へと移動させ、ついでにあの何とも憎たらしい澄まし顔を睨みつけてやる。 「で、俺なのか?」 「当たり前だ。他に適任がいると思うのか? 正則なら道中が不安だ」 「確かに皿を割りそうで不安だろうが」 ――お前はどうなんだ?三成。 「俺は忙しい。それにあの量の皿を運ぶほど力馬鹿ではない。貴様の筋肉に期待しているぞ」 言葉に出さずとも、俺の胸中を察したらしい。三成は「あの箱に入れて運べ」と部屋の隅にある木箱を指差す。おい。少し待て、三成。勝手に話を進めるな。 「ちょ…俺はまだ承諾なんか…!」 「早く往け」 むっ、とした。正直腹が立つ。が、皿を運ぶ相手が相手だから許してやろう。いけすかねぇあの軍師に皿を押し付けて、ついでに小言の一つをぶつければ気が晴れるかもしれない。 「けっ、しょうがねぇな」 皿を木箱に詰め込み、ひょいとそれを持ち上げる。「こんな物も持てないのか三成は」などと言いながら軽々しく皿を運ぶ。つもりでいたが実際はかなり重い。両腕にくる重みに苦笑いを浮かべつつ、涼し気な表情で紙に筆を走らせる三成へ一言。 「お…お、重くなんか、ないからな…ッ!」 恥ずかしい話。 勇んだ言葉が震えていたとは言うまでもない。 ◇ 黒田官兵衛がいる屋敷まで皿を届ける。そんな名目で客間にいるのだがー。 「お屋形様は只今出れない事情が御座いまして」 な。 「なんだとこの女!」 屋敷につくなり客間で待たされ、挙げ句に出て来た女中の一声にブチリと血管が切れた。 「その言いようはないだろう!?」 「確かに秀吉様へお貸しした陶器一式は受け取りましたが…まだ何か?」 女中のすまし顔に握り掛かった拳のやり場をなくす。年増の女の鋭い眼孔に縮こまるのも癪だ。 「…ち」 舌打ち一つ。女中をこれでもかと睨みつけてから、部屋を出る。ここは正直に言おう。実のところ、女中に対して腹が立つのではない(いや一理あるが)。小言を言う相手が居ないという事実に腹が立つのだ俺は。 わざわざ届けてやったというのに出れないとは何様だろう。小言を言えないのであればこうしてやる。脳内にあのいけすかない青白い面を思い浮かべ、その面に墨で落書きをする。眉毛は加えてやらないといけないな、うん。我ながら正則っぽい発想だな。 「って…あれは、半兵衛?」 ふと庭に目が行くと、離れに向かう竹中半兵衛の後ろ姿があった。こそこそと周囲を見渡してから戸をあけ中へと入っていく。 「……」 怪しい。 実に怪しい。 そう思った時には既に俺も離れの戸にいたわけで。 「まぁ…別に人様の屋敷を荒らす訳じゃないからな」などと誰に宛てたか分からない言い訳を口に出してから、そっと戸を開けた。盗人のように(断じて盗人ではないからな)こっそりと中へ入る。離れとあって屋敷よりも狭い。廊下と襖で仕切られた部屋が何室かあるといったところだろうか。 俺はとりあえず板葺きの廊下を歩きながら、甲高い声がする方向へ忍び足をした。半兵衛の声は澄みきった女のそれと同じだ。つまりは良く聴こえる。遠くにいても耳に入りやすい声だと思う。そしてその声から紡がれる言葉を拾うと、恐らくアイツの名を呼んでいた。俺が小言を言いたかったアイツの名だ。 「官兵衛!貴様、俺がわざわざ皿を届けてやったのにこんな離れで引っ込んでいるとは何事だ!!」 半兵衛の話し声が最も聞こえる襖を、俺は勢いよく開くと同時に大きな声で怒鳴った。怒鳴ったついでに目前に坐する半兵衛を押しのけ、官兵衛の胸倉を掴む。「この野郎!」空いた方の手で作った拳を官兵衛のあのくぼんだ横顔にこれでもかというくらいに叩きつけた。 というのは真っ赤な嘘で、襖を開くと同時に恥ずかしきかな。俺は女のように悲鳴を上げていた。 「きゃああああああああああッ!??????」 「気持ち悪いよ、清正」 半兵衛がため息交じりに言う。いや、まて。叫ばずには居れないだろうこの状況は! 「ななな!なんだそれは!???」 俺は半兵衛の横に座る官兵衛を指差す。正確には官兵衛のはだけた着物から覗くどう考えても男には似つかない揺れる双丘を、だ。 「見ればわかるでしょ?」 「わかるって…どうなっているんだ!?」 「見たままだ。目覚めると女の形になっていたまでのことよ」 襟を正しながら官兵衛がいう。至って冷静。驚いているのは俺だけなのか? 「このまま女人の姿だと不便だし、軍議をいつまでも空けるわけにもいかない。だから俺の軍略で官兵衛殿を助けてあげようと思って」 半兵衛は俺に見せるように白帯を見せた。晒を巻く…ということか。だから官兵衛は脱いでいたのか。ぬ、ぬぐ? 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!???」 「黙れ」 氷のような視線。その官兵衛の横で半兵衛はにやにやと笑っている。 「もしかして、やらしいこと考え」 「ているわけじゃねぇよバカバカバカ!」 ムキになればなるほど頬が赤くなるのが自分でも分かる。あぁ、くそう。腹が立つ。 ちらっと官兵衛を見ると、冷徹な面をそこに引っ提げているわけで。 ――む、胸はおっきいな。 「清正」 「は、はい!」 「血が出ているぞ」 官兵衛のその一言に、俺はがっくりと肩を落とした。 嘘偽りを止めるとしよう。 俺はちょっぴりやらしいことを考えてしまった。それもよりにもよってあの官兵衛にである。 ◆ 「清正ぁ」 「あ?なんだ正則」 「俺さぁ、変な夢見たんだよ」 「何だ、いってみろよ」 「だってさぁ言ったらどうせ笑うだろ?」 「笑うわけないだろ?ほら、言ってみろよ」 「絶対笑うなよ?」 「笑わねぇから言えよ」 「夢の中でさ、竹中サンが女の体になっちまうんだよ」 「ぶっ!!!」 「ほら!笑った!ひでぇよ清正ぁ!」 〜〜 酷いのは清正では無く私です>< gdgdになってしまってすみません! シウ様に捧げます…!き、気に入って下されば幸いです!あわわ…!今後もどうぞ宜しくお願いします! <4/19> |