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手を繋いで堕ちましょう(ティナ×リト)





手を繋いで堕ちましょう



どこまでも



どこまでも



ふたりなら大丈夫





こつん。とティナと額をくっつけ合って笑った。
廃墟のアパートは壁があちこち崩れていて冬の冷たい吐息が吹き込んでいた。

「今日もまた二人ぼっちだね」


リトと掌<てのひら>をくっつけ合って笑う。


「そんなのいつものことじゃん」


指を絡め合って二人見つめ合った。

互いに好きで恋人に似た、いや、それと同じの感情を抱いている。




互いに互いが必要で一時も離れたことはなかった。



人間として墜ちていくのも二人一緒。


長いか短いか分からない人生の終わりも二人一緒と誓い合った。



「大好きだよ。ティナ」

「僕も心臓がぐちゃぐちゃげちゃげちゃになるくらい好きだよリト」


リトが突然ぎゅっと力を込めて抱き締めてティナの体が強ばった。


栗色の頭からするりと帽子が落ちた。


「ティナっぽく言うとね、何度も何度も形が無くなるくらい包丁で刺してぐちゃぐちゃのげちゃげちゃのびちゃびちゃのぐちゅぐちゅになるくらいね、好き」


ティナは強ばった体を緩くしてリトにもたれ掛かる。
そしてへらへらと笑った。


「ボク等に心臓なんてないのに変なの」


「そうだね、変だ。僕等」


二人で居る時が幸せで。

幸せな時は二人で居る時で。


びゅおっといつもより強く、冷たく風が吹き込みリトの体が小さく震えた。

「寒いね…」


ぽつりとリトが呟いく。
額をつけ合ったままなのでリトの温かい息がティナの鼻先に掛かった。


「もっとぎゅっぎゅって寄ったら温かいかな」

「きっと温かいね」


腕を腰に回しあって密着する。

互いの体温をより感じ合った。


「やっぱりぽかぽかするね」


リトの肩と肩の間に頭を埋め擦りつく。
それをくすぐったそうに、けれど不愉快さが込められていない声で言った

「うん、温かいね…」



「ボク等生きてるよね?」



今度はティナが強く抱き締めて静かに言った。その声はどこか死の恐怖に怯え、震えていた。


「生きている」と言おうとしたが、何も具体的に言えなかったので黙ってティナの温かさを静かに感じていた。


「リトと一緒に居たら凍え死んだりしないから、いいね…」


「そうだね」

ティナがリトから離れ、近くのぼろい壁にもたれた。

さっきまで温かかったのにティナが離れた瞬間に寒くなって鳥肌が立つ。

「手、ぎゅって、繋ご?」

手を差し出してきたのでリトはその上に優しく手を乗せた。

するとむっと口をへの字にしてティナが首を横に振った。

「違うっ。ぎゅってするの、ぎゅっ!」


文句を言われリトも顔をしかめたがそれは一瞬で、すぐに笑顔を浮かべ手を握る。


「僕等ずっと一緒だよね」

「一緒じゃないのなんて考えたことないじゃん」


二人は一層強く手をしっかり握り合った。




二人手を繋いで堕ちましょう



どこまでも



どこまでも


夢に堕ちるのも二人一緒に



儚い夢に堕ちて散るのも二人一緒に



しっかりと手を繋いで



手を繋いで堕ちましょう





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