('A`)ドクオが狂気の島から脱出するようです
第1話「序奏」
2:◆d2siRJjf1Q
04月24日18時33分55秒 EHXJS1WiO
山々に囲まれた自然豊かな村、VIP村。
広大な田園風景は、まさに壮観である。
裏を返せば、田園ばかりのド田舎で、若者達は皆働き口や出会いを求めて都会へ出ていってしまい、かなり過疎っている。
朝日が未だ差し込まぬ明け方、鶏達が騒々しい鳴き声をあげ、村に少し早めの朝の到来を告げる。
3:◆d2siRJjf1Q
04月24日18時41分38秒 EHXJS1WiO
('A`)「……」
そんな自然の神秘溢れる情緒などに、彼は興味がなかった。
薄暗い室内で、一人エロゲに勤しむ少年。名をドクオという。
(*'A`)「フヒヒ……」
彼は典型的なキモオタだった。
両親が小さい頃に行方不明になってしまってから、彼の人生はライブドア株価の如く堕落していった。
4:◆d2siRJjf1Q
04月24日21時52分13秒 EHXJS1WiO
('A`)「……ん?そろそろ準備始めないと間に合わないか」
壁掛時計に目をやった。
まだ、時間にはそれなりに余裕がある
パソコンの本体に手を伸ばし、電源を切る。
('A`)「マンドクセ……」
台所へ一直線に向かう。
ろくに掃除もしていないので、台所に向かうのにもそれなりに気を配らなくてはいけない。
5:今日はここまで◆d2siRJjf1Q
04月24日23時29分34秒 EHXJS1WiO
('A`)「……」
あり合わせの食材で簡素な朝食をこしらえた。
('A`)(カーチャンの手料理……食いたいな……)
味気ない質素な朝食を胃袋に詰め込んで、新聞の天気欄に目を通す。
('A`)「……明日、明後日は晴れ、か……」
彼の通うVIP高は、年に数回遠くにある島、ラウンジ島に旅行に行く、という特殊な習わしがあった。
そして今日、新入生であるドクオらは初めてラウンジ島に行く事になる。
食事を終えたドクオは、仏壇の前に座り、手を合わせる。
(-A-)「………(カーチャン……)」
母に手を合わせているのではない。先祖達にどうか両親を守ってくれと祈るのが、彼の欠かせぬ日課だった。
6:sageて書こうか◆d2siRJjf1Q
04月25日07時50分02秒 YxrTqyQwO
ふと、時計が目に止まった。
(;'A`)「ん……?」
針が示しているのは紛れもなくドクオが先程時計を見た時と同じ時刻。
(;'A`)「そ、そうだ!テレビ!」
既に八時開始の番組が始まっていた。
(;;'A`)「やべぇ!遅刻しちまう!えーと、えーと……」
急いで机の上にある物を適当に旅行カバンに詰め込んで、玄関から飛び出した。
7:◆d2siRJjf1Q
04月25日15時52分20秒 YxrTqyQwO
―VIP高校―
既に大多数の生徒達がバスに乗り込んでいる最中だった。
(;'A`)「ギリギリ……間に合ったか……」
全力で走ってきたから息が上がってしまってむせ返りそうになる。
気持ちが悪い……
( ^ω^)「おっおっ、ドクオ間に合って良かったおね」
( 'A`)「るせー」
この朗らかピザは内藤ホライゾン。
あだ名はブーン、俺のダチだ。
趣味はエロゲ。だから俺等はダチになった。
9:◆d2siRJjf1Q
04月25日16時34分06秒 YxrTqyQwO
………そう、あれは、入学式後の自己紹介の時だった。
( ・∀・)「おーし、俺がおまえらの担任のモララーだ。呼びにくかったらキムタクと呼んでくれ」
ΩΩΩ「るせーwww存在を慎めwww」
( ・∀・)「黙れ肉便器共」
ΩΩΩ「…………」
担任の先生は……バイだった。
自己紹介も半分ほど終わり、俺の前の奴の順番になった。
( ・∀・)「よーし、そこのピザデブ。名を名乗れ」
(;^ω^)「ヒドスwww教員失格だおwww」
( ・∀・)「さっさとしろ、休み時間に食い込んだら折檻するぞ。性的な意味で」
その言葉が聞いたのか、ピザは渋々自己紹介を始めた。
10:◆d2siRJjf1Q
04月25日16時41分45秒 YxrTqyQwO
( ^ω^)「……えっと、僕は内藤ホライゾン。あだ名はブーンだお、趣味は……」
正直、予想してなかった。カップヌードルのカップの中に炊きたての白米がぎっしり詰まっているくらい予想できなかった。
(*^ω^)「……エロゲですお!……特に妹系キャラを攻略するのが三度の飯より好きですお!」
11:(^o^)ノ<安価イックゾー◆d2siRJjf1Q
04月25日19時44分54秒 YxrTqyQwO
教室の空気が凍り付いた。正にエターナルフォースブリザード。
相手は死ぬ。精神的な意味で。
ブーンとやらは偉業を成し遂げた、誇らしげな顔で席に着いた。
あ―……俺の番か……どうすっかなー……
1無難に普通に自己紹介。
2実は俺もエロゲ好っきゃねん!!
3適当に嘘を並べて格好つける
>>12
(^o^)ノ<ちゃんと選択肢から選べよー
12:名無しさん
04月25日20時00分43秒 so+eZ4BIO
これは2しかない
13:(^o^)ノ<オ待タセシマシター、コチラ2デゴザイマース◆d2siRJjf1Q
04月25日20時41分29秒 YxrTqyQwO
自ら偽りの仮面を脱ぎ捨てたピザの雄姿に、ドクオはただただ感動していた。
('A`)(こいつ――漢や!ほんまもんの漢や!!)
それに比べて普通に済ませようと考えていた俺のなんたることか!
( ・∀・)「……次」
彼が雄姿を見せたというのに、この教室のふいんき(ryの冷たさといったら!
ここは、俺も続いて漢を見せ付けてやるぜ!
('A`)「ドクオです!俺……俺………!」
傍から見たら挙動不振の基地外に見えただろう。
前に鎮座していたピッツァも、何事かとこちらを見ている。
('A`)「俺も……エロゲ好っきゃねん!むっちゃ好っきゃねん!!」
14:何人読んでくれてるのだろうか◆d2siRJjf1Q
04月25日20時53分56秒 YxrTqyQwO
( ・∀・)「……」
ΩΩΩ「……」
ドクオを待っていたのは、氷河期すら凌駕しそうな絶対零度のように感じられるほど冷たいふいんき(ryだった。
(;'A`)(ハッ!?俺は一体何を!?)
その日、俺の夢見たウハウハの高校生活は
トゲの床に転落したロックマンの如くティウンティウンした。
20:(;^o^)コンナニモwktkサレルトハ……ナントイウプレッシャー◆d2siRJjf1Q
04月26日08時34分56秒 H+0NQOGjO
その後俺は授業が終わるまで始終白い目で睨まれた。
余談だが、休み時間にはコンマ数秒で食い込まなかった。
モララーは代わりにブーンの隣のイケメソを連れて教室を出ていった。
休み時間に俺とブーンは意気投合。
今では親友と呼べるような間柄だ。
まあ、その後もしばらくの間俺たちが女子連中から白い目で睨まれていたのは言わなくてもわかるだろう。
長くなってしまったが、まぁそのピザが――
(#^ω^)「ピザピザうるさいお!失礼な地の分だお!」
(;'A`)「誰に文句言ってんだ?」
( ^ω^)「ひ・み・つ(はぁと」
( 'A`)「キメェwwww」
とかなんとか言ってる間に、港に着いたようだ。
ここから船に乗り換えてラウンジ島に向かう。
21:(^o^)ノ<マタ安価イックゾー◆d2siRJjf1Q
04月26日09時45分32秒 H+0NQOGjO
(*^ω^)「すごいお!久しぶりに海見たお!」
ブーンは腕を広げ、走り回って喜びを表現した。
事あるごとに腕を広げ走り回るそれ――『ブーン』――をするらしい。あだ名もこの基地外じみた行動のせいでついたものらしい。
出航まで若干時間があるようだし、俺は…………
1その辺でもブラブラするか
2ジュースでも買いに行くか
3暑いし、日陰でも探すか……
>>22-25
範囲安価
つづきは五時以降投下です
22:名無しさん
04月26日15時43分23秒 lJH1/iwjO
個人的には3がみたい
24:更新速度をさらにゆっくりにします◆d2siRJjf1Q
04月27日18時33分48秒 HrxPg2tQO
(;'A`)「にしても暑いな……」
ちなみに季節は夏真っ盛り。べっ、べつに書き忘れてた訳じゃないんだからね!
('A`)「むっ!良さげな日陰発見!」
背の低い木が茂っていて、なんとも魅力的な木陰を見つけた。
('A`)(フヒヒwww俺GJwww)
木に背中を預け、ぼんやりと空を見た。深い青に染まった空………
空……青い空、白い雲、青い海ときたら……
(*'∀`)「第一回水着閲覧会決行!」
(;,゚Д゚)「アホか!」
(;'A`)「フヒィッ!?」
なんてこった!完璧に油断してたからキモイ声が出ちまった!
27:◆d2siRJjf1Q
04月28日20時02分26秒 JVz3Fs0FO
(,,゚Д゚)「すごく……キモイです……」
俺を罵倒するこのいかつい男の名前は擬古ハニャーン。皆からはギコと呼ばれている。
中学からのダチだ、しかし、この野郎は………
(*゚ー゚)「あっ、居た居た。あれ?ドクオ君も一緒だったんだ」
彼女は椎名 しぃ。ギコと………付き合ってる。
学校内五本の指に入るであろう程の美人さんだ。
畜生め、うらやましいじゃねぇかこね野郎
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
(*゚ー゚)「もー、ちゃんと喋りなよwww」
('A`)(すごく……しにたいです……)
他人がイチャついてんの見て何が楽しいんだってーの……
28:(^o^)ノ<今日ハココマデダゾー◆d2siRJjf1Q
04月28日20時38分45秒 JVz3Fs0FO
憂欝な気分に浸っていると、モララーが、
( ・∀・)「お前らーさっさと乗れー」
と生徒達を誘導している。
もう出航か……早いな。
(,,゚Д゚)「班は違うがラウンジについたらどっか遊びにいこうぜ」
('A`)「風俗がいいです」
(,,゚Д゚)「うっせ包茎wwww氏ねwwww」
まあ……コイツには幸せになってもらいたいと思う。
口は悪いがいいヤツだからな………
('A`)「さて……くそみそは勘弁だし、行くかな」
よっ、と腰を上げる。
立ち上がるまで若干時間がかかり、最近運動不足だなと改めて痛感させられる。
( ゚∋゚)「……少年」
(;'A`)そ「!?」
いつの間にかドクオの背後に、筋骨隆々とした男が立っていた。
30:(^o^)ノ<オハヨウゴザイマース◆d2siRJjf1Q
04月30日08時11分55秒 o7kLsLKJO
その男の体躯はギコよりもがっちりとしており、どこか威圧感を感じさせるような眼。
そして何より、先程ギコ達と会話していた間、誰かが近くに居た気配はなかった。
( ゚∋゚)「…この近くに自販機はあるかな?」
('A`)「……あっちにありますよ」
不審な奴相手に突っ込んだ発言はよくないだろう、とそっけない返事を返す
( ゚∋゚)「そうか……助かった、ありがとう」
礼を言うと男はドクオの横を通った。
たしかに、すれ違ったのだ
(;'A`)「な…………」
振り返ったそこには、誰も居なかった。
ただ潮風が、道端に捨てられた新聞紙をカサカサと揺らしているだけだった。
第1話「序奏」 完
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