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Short story1
恋愛しましょ 番外編

今日も小野寺律は落ち込んでいた。

「やばい」

「せっかく先輩がデートに誘ってくれたのに、俺あんな態度取って…、」



「で、でーと……」

無意識に洩らしたその魅惑の響きに思わず酔いしれる。
だがもう一度、高野に誘いを受けた時の事を思い出してみると、自分は何て返事をしたのか余り覚えていない。喜んでいる事を知られたくないので、なるべく興味なさげな振りをした事だけは覚えている。


確かあの時、自分は何と返しただろうか。



「あ、そうだ。
嫌だって言っちゃったんだよ俺ー!!!!」

なんてことを、

律がこう後悔するのはこれが初めてではなかった。


気になっていた先輩の担当につく事が出来た時は、それはもう複雑な気持ちだった。
でも他の人に任せて先輩が変な女と一緒になるのだけは絶対に嫌だった。だから、どうせ叶わぬ恋ならせめてあの人に最適なパートナーをと考えたのだ。

そして、今では何故か自分がそのパートナーに。

断じて嬉しくないわけではない、むしろ泣きそうなくらい嬉しい。
それなのに素直に喜べないのは、高野がどうして自分を選んだのかが今一良く分からないからだ。


一体なぜ自分を、
女が面倒臭いから男の自分を選んで友達感覚、または普通の先輩後輩としてやって行こうと思っているのか。

それならば、なんで男の自分にキスなんかしたのか。


律には分からない事だらけだ。
意外な出来事で念願叶って愛しの先輩と恋人同士になれたというのに、どうしても手放しで喜べない。



「……とりあえず料理の練習、しよう」


そうして今日も夜は更けてゆく。





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