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政宗の私室。
Marry Christmas!!






今日はクリスマス。

恋人たちの一大イベントだ。



もちろん、俺にとっても一大イベントなんだが、愛しい愛しい俺の小十郎に何をプレゼントするか、毎年悩んでしょうがない。

まぁこの悩みも幸せなんだけどな?

こうやって悩んでる間、あいつも同じように悩んでくれてること知ってるし。




…今年は何にしようかな




あてもなくぶらぶらと、クリスマスに浮き足だった街を歩く。


ふとわきを見ると、クリスマスのイルミネーションが反射して輝くショーウィンドウに、今年の流行の服に身を固めたマネキンがポーズをとって立っていた。


目がマネキンの首に巻かれているマフラーにいく。


マフラー……


駄目だ駄目だ、小十郎の首に巻かれるなんてマフラーが可哀想だ。
俺の小十郎は男前だからな、マフラーの立場がねぇよな。


…つか小十郎の首に巻かれるなんてマフラーでも俺が許さねぇ。





マフラーを諦めてまた通りをぶらぶらと歩いていると、今度は少し入るのが躊躇われるほどしっとりと大人な雰囲気を醸す店が目に入った。

(…何の店だろう。)

少し勇気を出して戸を開けて入ってみる。

店員の控えめな挨拶が聞こえて、すぐにキラキラと輝くとりどりのアクセサリーが目に入った。

(アクセサリーか…)

ベタかもしれないが、一番確実なプレゼントだと思う。

こんな店だと少々値段が気になるところだが、小十郎のためならそんなことはどうでもいい。

(おそろいだろ、ここは)

そんなことを思いながらクラシックの流れる静かな店の中を回っていると

「政宗様?」

アクセサリーを覗き込む俺に、思いもよらない声が降ってきた。

「…小十郎!?」
驚いてつい大きな声を出してしまった途端に、しっ、お静かに、と小十郎が俺の唇の前に人差し指を持ってくる。

「…ぁ、悪ぃ。」

今どきそんなリアクションも珍しいなぁと思いながらも、そこがまたちょっと可愛くてイイとか思ったのは内緒だ。

「何故ここに?」

「む…俺がこういうトコに来ちゃ可笑しいかよ」

「いえ、もう帰られたと思っておりました故」

「…ちょっとぶらぶらしてたんだよ…で、お前こそ何で居んだ」

俺へのプレゼント探してんだろうけど。

「姉上に何かないものかと思いまして。丁度ようございました。政宗様、お気に召す物がありませんか。」

ん?俺へのプレゼントじゃねぇのか?

「何でお前の姉貴の話から俺の趣味の話になるんだ?」

「ご存知ありませぬか?政宗様のご趣味は姉上と似ておられるのですよ。」


…ふぅん…?

「あ…これいい感じだな。…けどたっけぇなオイ……。」

シンプルなシルバーリングに何かの宝石だろうか、青いラインがぐるりと一周している。
俺好みの指輪だが、ゼロがいっぱいあって、とても手の届かない代物だった。

「ほぅ…ではこれにしましょう。ご協力ありがとうございました。」

「え、ちょ、おい、値段見たか!?ゼロがいっぱい…っ」

政宗が小十郎の肩を掴んで止めたが、年に滅多にないのですから、と小十郎は笑いながらレジの方へ歩いていった。

…おっとこ前ぇ…。

「お待たせ致しました。」
しばらくして小十郎がクリスマス仕様の小さな紙袋をぶら提げて戻ってくる。

本人に見られちゃ楽しみがなくなるからここで買うのは諦めよう、と俺はそのまま小十郎にくっついて店を出た。


…ここでも買えなかった。どこで買おうか。


小十郎の隣を歩きながら一人で考えてみたけど、やっぱりいい考えは思い浮かばなかった。

何かもう、いいや。

「小十郎、プレゼント何がいい?気持ちだけで十分は無しな。」

「…では、ご一緒にケーキでも」

「そんなの毎年のことじゃねぇか、もっと…こう……ねぇのかよ。」

そうは言ってみるものの、もう社会人の小十郎に、所詮アルバイトの俺が買ってやれるものなんてたかが知れていて何だか悔しい。

案の定、小十郎は困ったように笑って、お気持ちだけ、と言った。


「…よしわかった!じゃあ今日は俺を焼くなり煮るなり、お前が好きなようにしていい!!」

「…は、」
小十郎がきょとんとしたのを見て、もしかして今のはまずかったかと思った刹那、小十郎に思いっきり抱き締められた。

「ちょっ…、小十郎、みんな見てんだろ!」
流石に大通りで抱き合ってれば、それが男女のカップルでも目立つ。

「…政宗様がお可愛らしいのが悪うございます」

そのような事など知りません、

「う…ちょ、小十郎……」


いつもより強引な小十郎にときめきつつもどうしようかと考えていると、ふと小十郎の指が俺の指に触れた。


冷たく硬い感触が、指を滑る。



(……え、)



子どもが歌う無邪気なクリスマスソングが、遠く聞こえた。


小十郎が離れて、締め付けられていた肺に冬の冷たく乾いた空気が滑り込む。

そろそろと左手を上げると、薬指に指輪が嵌められていた。

「小十郎、これ…」

さっきの店で小十郎が姉貴に買った、あの指輪。

「申し訳ございません。小十郎は、嘘をつきました。姉上には別に用意しております。…それは、元より政宗様に、と…」

指輪から目を離して小十郎を見る。

「…顔、真っ赤だぞ」

「はは…格好がつかず申し訳ございません」

ふにゃりと笑う小十郎に、気が抜ける。なんだか自力で立っているのがだるくなって、小十郎の胸にすがった。

「…ホントだ、バカ」

「…何故、泣かれるのですか」

「…バカ、泣いてなんかねぇ…っ」

そう言って小十郎の胸を叩いたら、ぼすっ、と鈍い音がした。

「…申し訳、ございません」

「お前、さっきから謝りすぎ」

「…このような小十郎はお嫌いですか」

「んなわけねぇだろ、バカッ…!」

「政宗様は先程からバカばかりですな」

「………すきって意味だ、バカ」





本当にどうすんだ

こんなにお前のこと好きにさせといて。


責任取ってくれんだろうな?







「…小十郎のそばに、いてくださいますか」



「当たり前だ、…バカ」









A Happy Happy...

Marry Christmas...?













――――――――――――

メリークリスマス!

MarryですよっMarry!!

…とこれが書き上がったのは結局クリスマスよりお正月寄りな日ですが…

色々書きたいこと詰め込んでたらすごく長くなりそうだったから思いきってカットしたのがこの長さ。

…うーん、まだ手直ししたいけど一部直すとそっから下全部いじんなきゃならんくて大変だしクリスマスもとうに過ぎてるしで上げちゃえ!と。

楽しんでいただければ幸い。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


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あきゅろす。
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