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ゆるゆる
4

ポロポロと流れる涙が止まらない。

賑やかだった声は静かになっていた。
愛夢が朦朧としているうちに既に一時間たっていたようだ。

カラーンカラーン

学校の鐘が鳴る。

ガチャ
仮眠室の扉が開き現れたのはこの学園の生徒会長である剣政宗だった。

政宗は静かに愛夢を抱えてベッドに座らせて隣に座った。

「…三日前に彼はココに転校してきた。彼は理事長の息子らしい。
本来は別の学校に行っていたが、退学になってここにきたそうだ。」

「………。」

愛夢は虚ろなままだ。

「…彼が前に通っていた学園は、鬼道学園だ。」

その学園の名前に肩が揺れて政宗を見る。
政宗は真っ直ぐに愛夢を見ていた。

「あの方の学園だ。
彼がここに通う事になると言う事を聞いて愛夢の心配をしていた。」

その言葉に辛そうな顔をする。

「政ちゃん。彼と別れた事はまだ秘密にしておいてぇ。
整理と準備をしたいからぁ。」

愛夢の言葉に政宗は眉間に皺を寄せる。

「あの方も俺もお前がこれ以上苦しめられるのはゴメンだ。」

「…大丈夫ぅ。俺はぁ、幸せだったんだぁ。
俺にくれた愛しているって言葉が例え嘘だとしてもぉ。
"条件"果たせなかったの俺だけど、このまんま彼奴に縋るのは彼奴に失礼だからぁ。
次の役員決めるまでもう少しだし、それまではちゃんと仕事を果たしたいんだ。
他の生徒に迷惑かけるのは嫌だしねぇ。」

愛夢の言葉に政宗は顔を伏せる。

「あと二ヶ月だ。」

「ぅん。」

「だが、愛夢の気持ちが落ち着いたらあの方に報告をする。」

「う…ん。」

「お前の気持ちは伝えておく。」

「迷惑かけてごめんねぇ。」

愛夢は小さく微笑む。

「愛夢とあの方の為に俺が勝手にしている事だ。気にするな。」

そう言って優しく愛夢の頭を撫でた政宗の顔は普段見れない優しい微笑みだった。



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あきゅろす。
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