ゆるゆる
4
政宗が電話をしてる頃の愛夢は職員室に向っていた。
愛夢が通れば道が自ずと開く。
皆は久しぶりに見る愛夢に見惚れていた。
愛夢は窓の外を眺めゆっくりと歩く。
フワフワ。
要と別れてから一週間とちょっと。
仕事に追われてたお陰で少し心はスッキリとしていた。
政宗が弥彦にそろそろ連絡をするだろうな。と思い、コレからの事を考えながら歩いた。
職員室について恭弥を探せば窓際の自分の席でタバコを咥えただけの恭弥がいた。
「恭ちゃん。」
と呼べば、顔を上げて優しく微笑む恭弥がいた。
政宗にしても恭弥にしても優しく微笑むのは愛夢に対してだけで、愛夢が居ないところでこんな笑顔は見れなかったりする。
愛夢はもちろん気付いてない。
「おー。愛夢。どうした?」
「ぅん。生徒会の書類持って来たのぉ。上から締め切りが近い順になってるよぉ。」
「ご苦労さん。
…愛夢。この一週間政宗とお前以外の奴らは来たのか?」
恭弥は蘭のクラスの担任だ。
状況をある程度解ってるからこそ、確認したいんだろう。
見た目はホストだし、基本面倒くさがりだが根は優しい生徒思いの先生なのだ。
だからこそ、愛夢は下手に隠したりもしない。
そんな事をしたら恭弥を傷つけるのが解っているから。
「んー。来てないよぉ。
でも、ミー君はさっき電話して話したら今日の放課後から来るって。
それとぉ、政ちゃんと話したんだけど、蘭君制裁が始まってるでしょ?
政ちゃんと俺と、ほーちゃんとミー君のとこの親衛隊に頼んで、制裁をしているとこの親衛隊を止めてもらう事にしたのぉ。
そこで、今日の放課後生徒会室にそれぞれの隊長さんを呼んで会議を開くから。」
その事に恭弥は苦笑する。
「お前らは、行動が早いな。
なら、生徒会顧問として出よう。誉には迷惑かけちまったからな。」
「ふふふ。ほーちゃんはそこまで深刻に考えてないから大丈夫ぅ。
恭ちゃんも自分を追い詰めちゃダメだよぉ。
今回は恋に盲目になってしまった結果だから、あの子達に少し冷静になって貰えれば大丈夫だよぉ。」
愛夢の言葉は人を落ち着かせる。
恭弥はホッと息を吐く。
恭弥は愛夢が要の事で傷付いていないか心配だった。
傷付いていないわけは無いが、受け止めようと愛夢が前向きなので少し安心したのだ。
そんな恭弥を見て(いろんなとこに俺を心配してくれる人は居るんだな。)と愛夢は内心感謝した。
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