ものは言い様(3Z)

「やっと休みアル!」

銀八のSHRが終わってみんな嬉々としている。しばらく連休に入るのだ。

「てめェの頭ん中は年がら年中休みだろうが」

「お前の頭ん中は永久に中二ネ。いつかくるくるした白髪が生えてくるネ」

あんなモテなさそうな死んだ魚の目のようなオッサンになってたまるか。人気投票いつも上位の俺はそんな心配いらないさチャイナ。お前なんかより絶対上だからなァ。

「ところで今日私とお前日直アルな。連休前に日直ってどうアルかコレ」

「連休明けよりかはいいだろうよ。あ、俺黒板消しパンパンやるからお前アレな、日誌と戸締まり」

そう指示すればいきなりベシッと一発殴られた。お前のツッコミは暴力に値するんだ知ってっか?



結局俺は黒板消しと戸締まりをした。チャイナが日誌を書きたいのは知っていたから手出しはしない。覗き込んでみると拙い字で"ぎんちゃん""しんぱち"その上に思わず吹き出しそうになる二人の絵が書いてあった。小学生かお前は。

「書けたのかィ?絵日記は」

「おうヨ!」

日誌をあえて絵日記と言って嫌味をかましたのに全く気づかない。そういう奴だ、バカなのこいつ。

「腹減ったなァ…帰りになんか食うかな」

「同感ヨ。肉、肉がいいネ!ステーキかな、カルビ焼き肉とかもいいアル。なァどれにする?」

「知らねーよ。もうそれ晩飯じゃねーか」

「晩飯は晩飯でまた食べるアル。これはお前の奢りで食べるものの話ネ」

「ほーう…誰が奢ると言ったんでィ?」

「女は愛嬌、男は黙ってサイフ。コレ鉄則ヨ」

「じゃあ愛嬌見せてみろよこのアホチャイナ」

お前だってなァもう少し愛嬌があれば…まぁくだぐだ言っても仕方ない。だってこれでこそチャイナだから。

他人に愛嬌振り撒いてる奴と違っていつでも素で接している。完全なる素かと言われれば肯定はできないが…。

「おごって?」

俺の手を両手で包み込み上目遣いで首を傾げる。バカな、俺がそれくらいで奢ると思ったか。つーかお前にそんな芸当ができるとは知らなかった。

「眼鏡」

「は?…あ、しまった外すの忘れてた」

瓶底眼鏡を外してもう一度俺の瞳を見つめてきた。だから、この俺が奢るなんて言うと思ってんのかコノヤロー。



俺が自転車を出していると下校しようとしている下の学年のカップルがいた。二人は自転車を二人乗りしている。その光景をチャイナもぼんやり眺めていた。俺はさっさと鞄を前かごに入れて跨がった。二人で校門まで行きそこで俺が走り出して自然と別れる、日直の時はいつもこうだ。しかし今日は俺は校門の前でそのまま待っている。チャイナがどうしたという顔で俺を見た。

「乗れば。ゲーセンで勝負しようぜィ。勝った方がコンビニの唐揚げ奢る、どうでィ?」

チャイナの目が驚きで見開かれたがすぐにパァッと明るくなった。さすが色気より食い気の女。

「上等ネ!言い出したこと後悔するなヨ?ゲハハハ」


そして俺達は夜まで制服で遊び呆けて、せっかくの連休なのに次の日から風邪をひいて寝込んでしまった。ん…勝負の結果は内緒。









かわいそうに。
でも楽しかったならいい。
バカなのに風邪ひいたのは何をしてたから?
公園で水遊びでもしてたことにします。




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