大変なんてもんじゃない(3Z)

今放課後も一緒にいる男は沖田総悟。私はなにかとこいつと喧嘩している気がする。

今日は教室の窓枠が外れて校庭に落下してちょっと問題になった。その時ちょうど下を向いていた校長の触角をバッサリいってしまったらしくて二人して頭を下げにいったがなかなかお怒りが治まらず、放課後学校中の掃除をするということでようやく落ち着いた。


落ち着かないのは私達だ。年末でもないのに放課後二人っきりで学校を大掃除。イライラしないわけがない。でもそれを相手にぶつけようものならまた被害が出る。だから我慢のしっぱなし。あいつもさっきから何か悶々としている。え、悶々?

「私階段掃除してくるネ」

「だからお前一人だとまた散らかすだろうからって二人でやってたじゃねーか。単独行動すんなバカ」

「失礼な!ちゃんと綺麗にしてるアル」

「俺がフォローしてるからだろ」

「わぁ!ほら見て花火!」

「聞けよ。そういや今日花火大会だったな」

今日ほんとは姉御に花火大会に誘われてた。なのになんで今こんな奴とこんな場所でほうきとモップを持って見ているのだろう。

「あっそだ。屋上行こうぜィ。その方が見える」

「ウン!」





色とりどりの花火達が私達の顔を染め上げる。花火大会の会場は人が邪魔で大変だろうな。よかったこんな特等席でこんな奴と見れるなんて…違う違う、せっかくの特等席なのにこんな奴と見てるのカ!

「何悶々と考えてんだ?」

「お前こそ」

花火を前に火花を散らすが今回奴がすんなりひいた。すぐに前に視線を戻してしまった。そんなに花火が見たいか。

「いつの間にグルグル眼鏡とったんでィ」

「え?屋上に来てすぐ。花火ちゃんと見たいからネ」

「ふーん」

「あァ、私が眼鏡とったからあまりの可愛さに惚れてしまったアルな?ハァ〜罪な女ヨ」

「ちげェし」

「そうアル!」

「違うって言ってんだろ!」

またまた言い合いになってほっぺや腕を掴み合っていたら、一瞬花火が静かになって二人して顔だけ横を向いたら今までで一番綺麗な花火が上がった。思わず見とれてしまって力を入れるのを忘れてた。それどころか目の前に人、それもサド野郎がいるのも忘れていたのだ。

「チャイナ、」

「ヒョ!?な、なんだヨ」

「お前俺の存在忘れてただろ」

「だったら何アル?」

「だったらムカつく。俺無視されんの大っ嫌いだから」

「知ったこっちゃねーアル。つうか近くね?」

手を離すと奴もようやく私から手を離した。いったい何分こうやっているつもりだったんだ私達。

「さっ掃除の続きすっか」

「あァそういえばそんなことしてたアルナ〜私達」

「もうこんな時間だ。とっとと終わらせて帰ろうぜィ」

眼鏡装着、気合い充分。

「張り切ってやるアル!」

「いやお前は六分目ぐらいでいいから」

そう言って溜め息一つ。でもその表情は穏やかで嫌いじゃないな、と思いました。



作文んんん!?



次の日、校長に掃除の報告書的なものを書いてこいとも言われていたので銀ちゃんに渡すとそんなツッコミが返ってきた。

あいつはどんな風に書いたのだろうか…









花火、屋上、制服…
青春じゃないか。
若いっていいなー。




あきゅろす。
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