ヒーロー参上!

いつもながら万事屋は暇である。銀ちゃんはプラプラどこかへ出掛けるし、新八はお通ちゃんのライブに行ってるし。"なんでも屋"っつーか"なんでもアリ屋"じゃね?

「うーん…暇アル」

暇潰しに町を散歩していると人だかりができているのが目に入った。ラッキーラッキーグッドタイミング。…あ、ボケるの忘れた。ぐっどすいみんぐー。


人の群れを分け入ってその中心に行くと何やら不気味な絵がいくつか置いてある。路上に座り込んでいる店主が私に気づいたようで、怖いもん見て涼しくなりなと買うように勧めてきたがそんな金など持ち合わせていない。おっちゃんもすぐそれをわかってくれて他の人と話をしだした。みんなこんな妖怪だのなんだので涼しくなろうってか?こんなの買うくらいなら駄菓子屋でアイスでも買う。

立ち去ろうかと思ったときおっちゃんの横に転がっている絵が気になった。

「あれ?おっちゃん、どうしてその絵だけ雰囲気が違うアルか?」

「お?あァこれは…描いた人が違うんだ。俺のじィさんでよォ。まぁこれは売りモンじゃねーが、お嬢ちゃん可愛いからやるよ」




「という感じでもらったネ。私の美貌のタマタマアル!」

「タマモノな。美しいタマタマなんてないしお前にタマタマないし。それよりどうも胡散臭ェな」

絵を眺めて銀ちゃんは顔をしかめた。しかし飽きたのかすぐジャンプを読み始めたのだ。いつもこれだ。あーやだやだ、こんな大人にはなりたくない。

「もういいアル。私また散歩行ってくるネ」

「オイオイこの絵置いてくのか?」

「散歩には邪魔だから」


万事屋には怪しい絵と銀ちゃん一人。死亡フラグがビンビンヨ、ゲハハハ!





駄菓子屋でアイスを買っていたら真選組のあいつが来た。行動パターンが似通っている気がする。キモいアルゥー。

「え、お前なんか顔色悪くね?」

「え?全然元気アルネ。ていうかこっち見んなヨ、まじキモい」

「体から異様な空気が漂ってるから見ちまっただけでィ。おい絶対それ以上近寄んなよ?来たらブッ殺す」

「ハァ!?なにアルか急に!」

「なんかまるでてめーの周りに何人もいるみてェだ!」

まじアルか!!スゲーヨ私!じゃなくて…エ゙ェェェ!?

きっとあの絵ネ…。とんでもないモンつかまされたアルヨチクショー。まさか私にフラグが立つなんて。こんなのは銀ちゃんの役目ダロ。

「取って取って!!」

「いや虫じゃねーんだから。除霊してもらえ」

「なんでお前は冷静に遠退いてるんだヨ!」

「俺ァまだ死にたくない」

「遠い!声遠いネ!」

でも体が重くて動けない。どうしよう…助けて誰か!


「トウッ!」

しゅたっと突如戦隊モノみたいに現れたのはあの絵をくれたおっちゃん。

「おっちゃん!」

って…この人がヒーローでいいのか。間違ってる、絶対。あいつは本当に最低な奴なのか。もしこのまま死んだら市民を見捨てたあの警察官を呪い殺してやる。

いきなりおっちゃんがお札みたいなのを私の体に投げつけた。と思ったところで私は意識を飛ばしていた。





「…いと撃つぞ」

目が覚めたとき目の前にいたのはおっちゃんとサディスト。なんと最悪の目覚めだろう。ヒーローなんていやしない。いてもこんなオッサンくらいなんだ。

「あ、起きた」

「沖田はお前ダロ。どうなったアル?」

「霊たちはお嬢ちゃんから出ていったよ。どうやらあの絵は罪人の怨霊を封じ込めていたみたいでねェ。悪かったよ。絵にこの札を貼っとけばもう大丈夫だから。じゃあもう行くね」

「一応ありがとアル…」

不本意だが一応礼儀だ。



「図太いねィお前も」

「さっき本気で呪い殺したくなったネお前のこと」

「そりゃ光栄でィ」

どうして笑える。どうして結局逃げなかった。どうして手を貸してくれる?


そういえばアニメのヒーローって被害を受けてる人が気を失ってる間に変身して助けることが多いような。ま、それはアニメの話か。



気を失ってる間に何があったのかはわからない。でも倒れたのにかすり傷一つついてなかったのは…

やっぱり夜兎はすごいアルナ!







ナーイス神楽。
ヒーローの登場ってあれもう少し早められないんですか?あと高校生探偵は事件防止もできてほしい。

それより銀さんどうなったのかね。




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