嗚呼、不毛(3Z)

担任の銀八のSHRが終わってようやく放課後。帰ってドラマの再放送を見たい。だが今日はこの変なクラスZ組で打ち上げがあるらしい。

打ち上げって何の打ち上げだ、花火の方か?人間大砲か?俺的に後者の方が面白いと思う。


「つーか打ち上げって何を打ち上げるアルか?」

「やァね神楽ちゃん。打ち上げっていったら団体でする飲み会のことよ。男が女に奢るのが目的ね」

「お妙ちゃん違う違う!そんな下心丸見えの飲み会じゃないよ。それ合コンじゃん?打ち上げっていったら、みんなでお疲れ様でした〜ってはしゃぐ為のものだよ」

「あら。誰も長谷川さんになんて期待してないわ」

どーでもいいけどこの中に口説きたい奴なんてどこにもいねーだろ。だってどいつもこいつもメス豚やメスゴリラばっかじゃねーか。動物園か、ここは。


「オイオイお前ら、設定ではみんな高3になってっけど中には飲んだらいけねー奴もいるだろ。とくに新八と神楽、絶対飲むんじゃねーぞ」

「高3も飲んじゃいけません。それはわかりましたけど、いったい何の打ち上げですか?」

「う、運動会の?」

「運動会!?せめて体育祭でしょ!しかも今の季節はなんですか?」

「ハイ、じゃあ18時に店の前に集合で」

「無視かよ!!ていうかなぜかアンタも行くのね」






で、集まったわけだがデカい化け物に驚いた店員が声を裏返させて応対したことに少しウケた。そしたらたまたま隣にいた奴が「プッあの店員、屁怒呂に驚いて声裏返ってたネ」って言ってきた。とりあえず「だな」って返したが。


「後で席替えするとして、とりあえず適当に詰めて座りましょう」

「そうだな新八くん!じゃあ俺はお妙さんのとな…ゴフォォォ!!」

「銀ちゃん、私奥のソファーがいいアル。銀ちゃん奥行って。私絶対途中でトイレ行くから通路側がいいネ」

「ごちゃごちゃうるせーよ。通路側はいろいろ大変なんだからな。気配りできねーと駄目だから」

「安心するネ!私気配り上手な女ヨ!はいっおしぼり!」

「っつァァァ!!熱っ!おまっ顔に…!絶対お前無理だわ!新八頼む!」

あのテーブルは相変わらずだ。結局俺たちのテーブルは俺、近藤さん、土方、山崎。その他のテーブルの内容は…以下省略で。





銀八はあぁ言ってたけどまぁ普通飲むわな、この場だし。目の前の土方は酒癖悪ィくせにロックでガンガン飲むし、近藤さんはすぐ脱ぎ出すし、山崎は…あ、いたの。

俺が日本酒を飲んでいると隣のテーブルのアルアル娘が立ち上がった。俺の位置からだとどうしても視界に入ってしまう。

すると店員が小さめの鍋を4つ持ってきた。どうやらチャイナはそれに興奮して立ち上がったのだろう。しかし他の3人はそんなの頼んでないという顔をしている。

「あれ?神楽いつの間に頼んだの?なんだァ気が利くじゃねーの」

「は?これ全部私のヨ!食べ放題なんだから食べないと損アル!」

「あー食え食え、どうせお前の分払うの俺だけどな」

だから銀八も来てるのか。




しばらくして便所に行きたくなった。飲むと近くなるよな。

「ちょっと便所」

隣の山崎にそう告げて俺は用を足しに向かう。みんなの笑い声が徐々に遠くなっていった。


便所を出ると銀八と出会った。なんとなく一緒にならなくてよかったと思う。べつに銀八は嫌いじゃないが、いやむしろ一目置いているのだがなぜかこうして偶然急に二人きりになると気まずいことがある。

「よう沖田くん。途中で鏡チェックですか?」

「普通に用を足しにきただけでさァ。先生がそうなんじゃないんですかィ?」

「なわけねェだろ。ろくな女いねーしよ」

第一生徒だし、と付け加えて中に入っていった。そうだったねィ。あいつは先生で。ろくな女がいないっていうのにも同感だし。


「漏れるアルー!」

こっちに酷い足音をたてながらやってきたアルアルノンアルコール娘をぼんやり見つめて溜め息をつく。

ほんと、ろくな奴じゃねーや…









打ち上げを合コンと勘違いすんな野郎共!的な。沖田お前も飲んじゃいかんだろ的な。トイレで先生にばったり会うとなんか気まずくない?的な。




あきゅろす。
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