カマウシ(3Z)
隣の席の奴にゴミとしか思えない紙切れを渡された。奴のことだからどうせプリントをノートに貼るためにハサミで切ってその切れ端をこっちに寄越しやがったんだろう、嫌がらせのために!
まぁでももし何か書いてあってそれがまがりなりにも愛の告白とかだったらいけないから、一応この優しいプリチィー神楽様が四つ折りの紙を開けてみてやった。
カマウシ
なんじゃこれ。オカマの牛?いったいなんの嫌がらせアルカ。
「…何アルカこれ」
「アナグラムって知ってるかィ?きのうテレビでやってたから試したくなったんでィ」
「アラ…グ…?知らないネ」
「アナグラム。文字を並び替えて単語にするんでェ」
なるほど。少しやってみるか。カシマウ…シマウカ…
「マカウシ…カウシマ…ウマカシ…」
「おめー早くしねーと銀八が来んぞ」
だったらこんなSHR間近に寄越すなヨ。まったく勝手極まりない。
「…シカウマ。もうわかんねーヨ!コレほんとに答えあんのカ?」
「あるぜィ。ただ並び替えただけじゃ駄目だけどな」
「ん゙ー…」
普段お世話にならない脳もフル回転しているみたいだ。…ん?お世話にならないだと!?失礼な!
「お前の名前って漢字二文字だけだよな」
だからどうした。人が考えてるときにうるさいなこいつは。
「テストのとき楽じゃね?つってもメリットってそれくらいだよな」
これが解けたら真っ先にお前を殴ってやるからな。
私が考えあぐねていると話を聞いていたのだろう前の席のマヨラーが振り返って私の机の紙を覗き込み、わかったというような顔をしている。あの一瞬で?逆さまで見てもわかったのか。
「今の総悟の言葉はヒントだ」
なにやらほくそ笑んでいるがこの際気にしない。
でもこいつさっき何言ってたっけ。くだらない話しかしてなくね?名前がどーたら。メリットがないとか。しっくりこない。あとは…
「漢字?」
「土方の死体が一体〜、土方の死体が二体〜…」
「羊を数えろ!」
ふざけたアイマスクを着けて寝る体勢に入っている。放置する気か!いちいち腹の立つ野郎ネ!!
「でもきっと漢字なんだろナ。そんな気がするアル」
「おー。俺からのヒントは…あ〜でもコレほんと答えだからなァ〜、どうすっかなァ〜」
「エェ〜そんな風に言われたら知りたいアルぅ」
「しゃーねーなァ。ヒントは、動ぶッッッ」
前の男がサド野郎にちぎった消しゴムを投げつけられた。しかも顔面に。痛そー。ていうか寝ようとしてたんじゃないのか?あ、またうつ伏せになった。
「ふむふむ動物アルカ。なら…シカとウマ、鹿馬ネ!ん?なんか見たことある…」
ハッ!?
ようやく解けた。コレ逆だ。何が愛の告白だ、こんなものに時間を取られるなんて!
「おォまァえェ…!!」
さっきのもあるから二倍返しで。
…いや、やっぱ三倍にしとこう。
バカってなんで馬鹿って書くの?馬と鹿に失礼じゃん。
くだらない思いつきをする沖田を書きたかった。
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