カイロポケット(3Z)

秋も終盤に差し掛かりかなり寒くなってきている今日この頃。私の首にもそろそろピンクのマフラーが巻かれるだろう。

「寒い寒い!お前カイロ持ってたよナ?貸して!」

寒さで赤く色づいた手を差し出すがそこにカイロが置かれることはない。

「500円」

「貸せって言ってんだヨ!」

「無理言うな。俺だって寒いんでィ」

この男に親切を求めるんじゃなかった。基本Sだから。

「じゃあこの冷たい手をその服の中に入れてやろうカ?」

「な、何する気でィ。何プレイだ」

「何言ってるアルか。とにかく貸してヨ。一緒に触らせてくれるだけでいいから」

ん、とカイロと沖田の片手が差し出された。カイロに触れると心がほっこりしたが、次の瞬間体がびくついた。沖田の片手がスイーッと奴のコートのポケットへ直行したのだ。慌てて手を引き抜く。寒っっ!

「ちょちょ!なんでポケットに入れるんだヨ!」

「こっちのが暖かいかと思って」

「私の手は無視アルか。端から見ればポケットの中で手繋いでるみたいじゃねーカ」

「誰もカップルだなんて思わねーよ。なんせこの俺達だぜィ?もし本当だったらみんなだっふんだだ」

だっふんだだ?

「あー無理アル寒い冷たい動けない!」

「知るか」

「やっぱり入れてくれ」

ぐいっと押し込んだ先にあった手は一瞬ビクッと反応した。そして向こうの手が出来るだけ私の手に触れないように離れていく。カイロはちょうど真ん中だ。

「…一時間目ってなんだっけ?」

「…国語アル。銀ちゃんアルナ」

「そっか、なら楽だな」

「あっ私今日自由帳忘れたネ」

「自由帳じゃなく頭のネジ忘れてんじゃねーのか?」

「死ねヨ。オイそのマフラー暖かそうだナ」

「いやこれはどう考えても無理だろ」

「何が?」

「いや何がって…」

「あっそのコート「きりねーわ」」

言葉を遮られ顔をしかめる。

「つうかお前今日何着てきたんだよ」

「きのう上着を買うつもりが食料を買っちまって。金がないアル。金くれ」

「もう俺に構うな、先に逝ってくれ。それからな、最期に言っておく。もう季節は冬だぞ。お前一人遅れてる」

新事実を知らされた。銀ちゃんはまだ秋だって言ってたヨ!騙された!みんなコートでぬくぬくなのに!

「とりあえずいっぺん死んで、次は来年の冬に出て来ればいい。そんでみんなと足並み揃うぜィ」

「そうカ、じゃあちょっと私死んで…って何言わせるアルかァ!」



とある朝の話。

ちょくちょくこんな朝があってもいいかナ、なんて。

寒い日は人肌恋しくなるんだっふんだ。














登校中のカイロwithぬくぬく沖田を見つけて絡みにいった神楽。
もうやってることカップルじゃんよ。

カイロポケットってカイロを入れておく袋のことですよ。
ネットで調べたらウサギさんのがありました。




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!