其の瞳で見るならば

もし空が桃色だったら、世界はどういう感じに見えるのかな?もし私の髪が青かったら、周りにどんな影響を与えるのかな?

私の瞳には何が正しく映ってる?


「なんで空って青いんだろうナ」

「青いとは限らねーぞ。それは人間の目で見るから青いんでィ。動物によって光の捉え方が違う。そもそも三次元における物質において色の概念なんてないんだからねィ」

こいつは何を小難しいことを言ってるんだ?私はただなぜ空が青いかって聞いただけなのに。

それに答えなんて求めてないんだ。ただこの気まずい状況をなんとかしようと大人な神楽様が一歩踏み出しただけだというのに。こいつは土足で踏み荒らした。

「そこは、なんでだろうなぁ、だロ!私お前とまともな会話するつもりはないアル。適当に時間潰したかっただけネ」

「ならなんでそんな話題を選んだんでィ。おめーらしい様でらしくねー発言だったと思うね今のは」

「お前こそなんだヨ。今日どうした、そんな眼鏡かけて賢ぶってるのは」

「だて眼鏡だぜぃ。クール秀才眼鏡キャラの気分だから」

いや無理だろ、お前アホじゃねーか。眼鏡かけても何も変わりゃしねーよ。いいとこ新八とキャラ被りだ。ん?全然いいとこじゃねーな。

「独眼竜にしてやろうかレッツパーリィィ!!」

「今の俺にはそんなおちょくり効かねーぜ。なんたって知的でクールだからなァ」

うーん。どう見たら知的なのかな?知的って何かな?


「見た目って大事だろ」

だて眼鏡を取って沖田は言う。

「そうアルナ」

「でも見る目も大事なんだよ。正直この瞳で見てる映像なんて己の頭の中で造り出されたモンとしか考えてねェ。そん時の環境とか気持ちとかが脳への映し方を決める。だがな、そういうの全部ひっくるめて目で見るっつうんだよ」

だからなんだというんだ?こいつの言いたいことはいつもわかりたくないからわからないが、今はわかりたくてもわからない。なんじゃこりゃ?

奴はチラリとこちらに視線を向けて少し口角を上げるとすぐに目を閉じて続けた。

「気にするこたァねーよ。あの光を失ったガキもそんな難しい事考えて生きちゃいねぇだろ」

実はここ一週間この公園のブランコに盲目の少年が現れるようになっていた。親は一度も姿を見せず、私はずっと気になっていたがついに今日声をかけた。すると笑ってこう言ったのだ、「お姉ちゃんの笑顔はきっと素敵だね」。私は彼に笑顔を見せることも出来なかった。ブランコを離れた後ひょっこり現れたのが沖田。

「…ウン」

涙が浮かんできそう。きっとこいつは今まで大切なものをいっぱい失ってきたんだろう。そしてその分弱い自分を殺してきた。結果的に、同じ境遇の同じような思いをしている者の気持ちがわかってしまうんだ。

「泣きたい時は泣けヨ。今日は特別に私の足の裏を貸してやる」

「いや普通胸貸すだろ、なんで虐げられなきゃならねーんだ。…てこった、おめーもこの貧乳姉ちゃんの乳借りるかィ?」

その言葉で木の影に隠れていた盲目の少年が私のところに走ってくる。

ついでに抱いてやるヨ、ドSもナ。













だ、抱く…!?
なんだか意味のわからないものに。




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