おもちやいちゃった?(3Z)

私の大好きな昼休み、目一杯腹一杯食べて姉御や九ちゃんとお喋りしている時だった。キャサリンが私の前にやってきて機嫌悪そうに、他のクラスの何とかって奴がお前のこと呼んでる、と言ってきた。仕方なく廊下に出てみると背は丁度あのマヨラーくらいの高さで体育会系の男が立っていた。

「私になんの用アルか?」

「放課後この教室に残っててくれない?話があるから」

「何する気ネ!私そんな軽い女じゃないアルヨ」

胸の前で腕を交差して驚きの顔で男を見たら変な顔をされた。でもきのうそんなニュースやってたから。

「べつにそんなことしないから。とにかく放課後は予定空いてる?」

「空いてるネ」

「じゃあお願いします。あ、きのうはほんと助かった。ありがとう」

名前も知らない男は去っていった。きのう?そうか、野球部の人だ。きのうあの人の打ったボールが他の生徒に当たりそうになったのを寸でのところで止めたんだった。

その一連の流れを姉御達に説明すると楽しそうに、どうなるかしらとばかり言っていた。




放課後教室に残ってグラウンドを眺めていたらガラリとドアが開いた。彼だと思って振り向いたがそこにいたのはサディスト。ズッコケそうになる。なんだてめェ無駄に緊張したじゃねーかヨ。

「何してんだヨ、みんな帰るか部活行ってんだロ」

「忘れ物。あーどこやったんだっけなァ俺の忘れ物。忘れ物ォー出てこォい」

忘れ物っていう忘れ物なのか、お前が探しているのは。

「絶対嘘だロ。早く部活行けヨこのサボり魔」

「てめェは?」

「これから大事な話があんだヨ。部外者は立ち去れ」

「そうかィ。あ、ところでさっき会った奴に代わりを頼まれてねィ。これ渡してくれって」

差し出されたのは必勝祈願のお守り。なんで?

「それ持って自分を応援しにきてくれってことじゃねーか?あーそれとな、」

おいおいこれあの野球部の人からのじゃね?なんでこいつを経由して渡してるわけ?

「前から好きだ、付き合ってほしい。って伝言もあったわ」

だからなんでお前の口から聞かなきゃいけないんだヨ!

「…無理ネ。そいつにそう伝えといてほしいアル。それからこのお守りも返しといて」

「りょーかい。バカだねィあいつも」

「確かにそいつさっきお前に会ってしまったのが失敗アルナ」

ドSの笑みで返してきた奴の顔を見て、あの男はいったい今どんな状態であるのか少し心配になった。



さっきの告白は誰の言葉?








季節は甲子園の予選くらいの設定。
沖田に捕まって教室に行けなくなった挙げ句告白まで勝手に代弁された青年に、ありがとう。




あきゅろす。
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