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咲良さく様より。

ラストソングの咲良さく様の100Hit御礼フリー小説を頂いてきました。


熱量




くたり、と肩に寄り掛かり信じられないくらい無防備な笑顔を向けてくるギルバート。酔い潰れた恋人を前にブレイクは珍しく困り果てていた。


「ブレイク」

「……何デスカ?」

「もう一杯、」

「ダメ」


この酔っ払い。いくら心の中で悪態を吐こうと、可愛らしく首を傾げる姿を見ると何故か許してしまう。残り少ない理性を大いに危険にさらしてくれる『おねだり』をブレイクは即答で突っぱねた。
酔った相手に手を出すような趣味はない。断じてない。しかし…


「…ブレイク」

「今度は何デス?」


ブレイクの問いにギルバートはあつい、と一言。自分のそれよりもいくらか冷たい手が心地好いのか、ギルバートはブレイクの手をゆるく握って自分の頬に当てる。


「気持ち、いい」


恍惚とした表情が視界に入らないよう、テーブルの上にある空のグラスを一心に見つめる。


「人の気も知らないで…」


そう呟かずにはいられない。少しからかってやろうと、彼の一人暮らしのアパートに立ち寄った所まではよかった。しかし、酒に弱い事を少なからず自覚しているはずの彼が、まさか宵の口から一人で飲んでいるとは思わなかった。


「なぁ、」

「お酒はもう駄目デス」

「ちがう、水…」


短く溜息を吐き、空のグラスに水を注ぐ。ギルバートはそれを手に取ると、覚束ない仕草で口に運んだ。


「あーあ、見てられマセン」


見かねてグラスに上から手を添えてやる。ギルバートは子供のように従い、あっという間にグラスを空けた。再び空となったそれを受け取ってテーブルに戻す時、すべて飲み干した後の物足りなさげな顔をもろに見てしまった。
水に濡れた唇が艶を帯びて光る。ブレイクの僅かな動揺を知ってか知らずか、ギルバートがただでさえ近い距離を更に詰めた。


「ギルバート君、」


先に根負けしたのはブレイクの方だった。湿った感触を貪るように口付ける。ギルバートが呼吸の合間に漏らす普段より甘ったるい声は思考を麻痺させた。


「っは…ぁ、ブレイク」

「このまま続けても良いんですケド…」


アルコールに蕩けた金色の瞳が名残惜しげにブレイクの唇を視線で追う。応えたいのは山々だが、また翌日拗ねられては困る。ブレイクはギルバートの肩を軽く押して、ソファーの上に横向きに寝かせた。


「今日はもう寝てしまいなサイ」

「…ん」


ギルバートは答えて、ブレイクの手に遠慮がちに指を絡めて目を閉じた。素直な姿があまりに愛おしく、ブレイクはその頬にキスを落とす。


「次は、素面で誘ってもらいたいものだネ」


暫く経って静かな寝息が聞こえてくるまで、ブレイクはその手を離さなかった。






end.



咲良さく様ありがとうございます!酔っ払ったギルかわええ…っ
エロエロもお願いしまs(自重)
素敵な小説ありがとうございました!

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あきゅろす。
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