少年小説
消えてしまいたい
こんなことを始めたのはいつからだったか…
もうすでに一年はたっている。
最初は街中でスーツ着た紳士風な格好いいって形容詞が似合うおじさんに声かけられた。
最初は道を聞いてきて、
そのままお茶に誘われて、
またお茶しようと言われて連絡先を聞かれた。
話をしている間も始終僕の全身を舐めるように見ていたし、僕といかがわしいことしたいんだろうなぁ…というのは手に取るようにわかった。
そういう趣味というか性癖の人がいるっていうのは知ってたしね。
だから、嘘の連絡先教えればこれで終わり。
なのに僕はそのおじさんに、ちゃんと連絡のとれるホットメールのアドレスを教えたんだ。
なんでって?
さぁ?…なんでかな?
日々の生活に飽いていたのか、決まっている未来に…将来に抗いたかったのか…
ううん、どれも違うな。
…どうでもいいんだ。
僕はしなくちゃいけないことはあるし、それを投げ出そうとは思ってはいない。
かといってがむしゃらにしたいこともない。
ただ人形のように、機械のように…ただ毎日をこなしているだけ。
愛想笑いをして、うわべだけ取り繕って、なんにたいしても冷めた目で見ている…
そんな僕を…僕は心底嫌いだった。
だから、自分から死ぬつもりはないけれど、死を与えられるなら拒むつもりはなく、よろこんで受け入れると思う。
…僕は消えたかったんだ
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