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少年小説
まさかの展開1
「おーし、ちゃんと残ってたな。感心感心」
「……一度、約束した、ことですから」
 ぶっちゃけすっげー帰りたかったけど。
 ラグビー部って(他の部もそうみたいだけど)すっげー遅くまで練習してんのな。もう外真っ暗なんですけど。もう初夏だってのに。
 とにかく陽が暮れるまでずーっとグラウンドの外で待ってた俺は、練習が終わるやずばっと素早く現れたまだユニフォーム着替えてもいない勅使河原先輩に、いつも通りにぐいぐい引っ張られていつも通りの体育倉庫に連れ込まれた。
「今日はもうここらへんにゃ誰もいねーからなー、思う存分泣き声上げていいぜ?」
「泣きませんからっ!」
 ……いや実際には泣くみたいな声上げちゃうんだろうけど、それでもやっぱりこういう風に言われるとこう言わずにはいられない俺。
 勅使河原先輩はにやり、と楽しそ〜に笑い、いつも通りに言った。
「ケツ出しな」
 ……うううう。
 そしていつも通りの時間がやってくる。びしぃ! ばしっ! ばしぃん! と尻に、腰の奥にじんじん響く強烈な衝撃。必死に堪えてもどうしたって漏れ出てしまう悲鳴。それを勅使河原先輩はさも面白そうに笑って、びしっ、ばしっとさらに勢いよく俺の尻を叩く。
 そんなゴーモンみたいな時間がしばらく過ぎて、俺がもうすんすん鼻を鳴らすしかできなくなると、先輩はいつも通りに「よぉし、よく頑張ったぞ山田次郎」と笑って俺の体を起こし、頭を撫でてくれる――
 その動きが、唐突にぴたっと止まった。
「おい……お前……」
「………?」
 なにがなんだかわからなくて、早く頭を撫でてほしくて潤んだ目で勅使河原先輩を見上げると、先輩はにやぁ、と、なんかすごいやらしい感じの笑顔を浮かべてきた。
「なーんだよ、そりゃぁよ。山田次郎、お前ボッキしてんじゃん」
「へ……えっ!?」
 勅使河原先輩の言葉が頭にようやく浸透して、ばっと股間を見下ろす、そしてかぁっと顔を熱くしてばっと両手で隠す。
 だって、本当に、なんでなのかさっぱりわかんないんだけど、俺のちんちんは、確かになんかエロいこと考えてる時みたいに、ぴんっとボッキしちゃってたからだ。
 だけど勅使河原先輩は即座にその両手を取って、引き上げ、にやにや笑いながら俺をマットの上に押し倒した。俺は半泣きになって暴れるけど、勅使河原先輩はその圧倒的な体格と腕力で、びくともせずに俺を上手に押さえ込む。
「なんだよー、気にすんなって。よーするにアレだろ、お前が俺に調教されてくれちゃったってこったろ? いーじゃん、男冥利に尽きるじゃんか。そんな悪いことしてるみてーな顔するなって」
 ばかぁぁぁ! あんたはよくても俺は全然よくないんだよぉぉ! 尻叩かれてボッキするとかそんな変態みたいな、ていうかあんたにちょ、ちょーきょーされてるとかなんての自体もー俺にとっちゃ死ぬほどありがたくないんだってばぁぁ!
 ……と言いたいんだけどこの期に及んで勅使河原先輩がキレるのが怖くて言えず(だって今日キレられたのマジ怖かったんだもん)、半泣きで目を潤ませて勅使河原先輩を睨むしかできない無力な俺。
「へへへ。お前のチンコまじまじ見たの初めてだなー……これが山田次郎のチンコかー。やっぱ中二だな、チンコも玉もつやつやピンクちゃんじゃん。お、でも一応皮は半剥けだな。ちゃんと皮剥きオナニーしてんだな、偉い偉い。大きさは体のわりにゃちょいでかいか? ま、でもガキレベルだけどな。お前のちっちゃい手でも抱え込めちまうくらいだろ」
「っ……っ」
 か、解説するなぁぁ! なに考えてんだよバカかこの人なにが楽しくてこんなことすんだよぉ!? サイテーだ変態だ絶対おかしい、こ……こんな風にまじまじなんて、友達にだって見せたことないのにっ……!
「な、お前オナニー週に何回くらいしてる? あ、それとも日に何回かって感じか? こんなピンクチンコってことはそこまでじゃねーだろ? お、なに、チンコビクビクしてきたぜ? あ、もしかしてお前言葉責めされると興奮しちゃう方? おー、先っぽにおつゆが漏れてきたぜぇ……やっぱお前Mっ気あるわ。ま、俺が開花させちまったんだろーけどな、へへへ」
「っ……っ……!」
 こ……こんにゃろう……!
「っ……ひっ……うっ……」
「あ、……なんだよ。そんな風にマジ泣きっぽく泣くの我慢されると、俺がなんか悪ぃことしてるみたいじゃん」
 困ったように言う勅使河原先輩に、あんたのやってることのどこが悪くないことなんだよと怒鳴ってやりたい。
 でも、それはできなかった。だって、怒られるの怖いし、こんなバカみたいなことでムキになってるとか思われたらみっともない。そう、だってこんなこと、やめろって怒鳴ればやめてもらえる程度の、ものすごくくだらないことでしかないんだ。
 だから、このくらいなんともないって、そう言ってやらなくちゃならないのに。
「ひっ……くっ、ぐっ……う、ひっ、うっ」
 喉が勝手にしゃくり上げて、瞳がじわぁと熱くなって、顔が変な風に歪んで。気を抜いたら泣いちゃうってくらいにどんどん、どんどん。
 なのに怒鳴ることもできない俺が、ものすごくちっぽけでみっともない存在に思えて、どうしたってしゃくり上げるのを止めることができなかった。
「あーもう……しょうがねぇなぁ、山田次郎はぁ……」
 勅使河原先輩は本当に困った、みたいな声を出して、すいっと顔を近づけてきて――
 ちゅ、ちゅ。
「……へ」
 俺は大きく目を見開いて固まった。今、俺のまぶたに、なにか触れた、よな。
 なんか、柔らかいもの。それがふにっと俺のまぶた挟むみたいに触れて、そんでなんか、俺の目に溜まった涙吸った、みたいな………。
 ていうか今勅使河原先輩、俺の目にききききき、キスっ、したよなっ!!?
 勅使河原先輩を見て目をかっ開いて口をぱくぱくさせると、勅使河原先輩はにやっと嬉しげに笑った。
「お、調子戻ってきたみたいじゃん。俺、お前の泣きそうな顔より、そーいう顔の方が好きだぜ」
「すすすすす好きって、あのそーいうことはむやみやたらに言わない方がっ」
「バーカ、今言わなくていつ言うんだよ、っとにしょーがねぇなぁ山田次郎はぁ」
「だからそーいう風にやたら名前呼ぶのやめてって……っひ」
 俺はぴっきーん、と固まった。勅使河原先輩が、唐突に俺のちんちんを触ったからだ。
 さわ、……しゅっ。勅使河原先輩の太い指が、俺のちんちんの上を滑る。その大きな手のひらで俺の竿を根元から上へ撫で上げ、先っぽでくるりと回転して、今度は指で竿を撫でる。
 玉も触る。手の中に握りこむようにしてちんちんと一緒に揉みしだき、付け根も、その先のもう尻の穴に近い張った辺りもくりくりといじる。
 さらに、竿を握って、しごく。その大きな手のひらで。太くてごつくてかさかさした指で。玉の方もうまくいじりつつ、しゅっ、しゅっと上下にしごく。裏筋も親指でしゅっしゅと力強く撫で、カリの辺りをくりくりといじり、亀頭に手のひらで先走りをぐりぐりと塗りつける。
 ――そして、そのうちのどれに感じたのかわからないうちに、俺は気持ちよくてどうにかなりそうになっていた。
「て、しがわ、らせ、んぱ」
「バッカ、こーいう時は名前で呼ぶんだよ。宗義センパイ、言ってみな?」
「む……ねよし、せん、ぱい?」
「よーし、いい子だ」
 先輩はにっと笑って、すいっと俺の顔に顔を近づけ、ちゅっと唇で唇に触れた。
 ……え、今なんか、触れた、みたいな……

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