少年小説
真兄ちゃん
「…ん」
なんか今まで凄く暖かかったのに…急に冷気が入ってきた。
なんだか寂しい気持ちになって…また一人に…なるのが嫌で…腕を伸ばした。
あ、あった…
腕の中に暖かい…何かを捕まえた。
すごく、優しい匂いがする…
これは真兄ちゃんの匂い…
真兄ちゃんは、僕の義理のオジサン。と言ってもまだ大学生で、オジサンって言ったら失礼だと思う…から真兄ちゃん…って呼んでる。
髪はちょっとツンツンしてて、体格が良くて、笑顔が凄く優しい…。
お母さんが死んじゃう前から優しくて、僕は…しゃべるの…下手なのに、いつも相槌を打ってずっと黙って…笑顔で聞いてくれた…
他の人みたいにトロいとか…ウザいとか…言わないで、いつもニコニコ聞いてくれた…
それが凄く嬉しかった。
真兄ちゃんはいつも僕の好きそうな事を選んでは遊んでくれた…。
気を使ってくれてるって…判るから…申し訳ない気持ちになっちゃうけど…、
そんな僕の気持ちが解るのか…「和馬は気を使わなくていいよ?和馬に楽しんで欲しくて俺が勝手にしてるんだし」…とにっこり笑って言うんだ。
そんなふうに言ってくれるのはお母さん以外にいなかったから…顔が凄く熱くて…涙が出そうになった。
…そんなことをお母さんに話したら、
「和馬は真司君の事が好きなのね…」
と笑顔で言った。…僕は言葉は出さずにしっかり首を縦にふった。
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