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少年小説
雨降って
ザー

日曜日の朝。
部活のために6時に起きたのだが…

外は昨日までの天気からは予想も出来ないような大豪雨。

正直窓の外が雨足が強すぎて霞んでいる…。

「…これは…ないな…」

ふぅ、とため息をついた後、携帯を開く。

部員と顧問に練習を中止するという連絡をしなければいけない。
メールで中止の主旨の文章を打ち込む。


…まぁ、連絡無くてもこの雨で出てくる奴なんて…



…いる。一人だけ来る可能性ある奴が…


福永 純太…彼ならばこの雨も気にせず部室に来ていそうだ…。

そして、彼は携帯を持っていない…


はぁ…、流石にこの時間に電話は非常識だしな…

部員にメールを送った後、とりあえず7時に電話することにした。


部屋を出て、階段を降りてリビングに向かう。

リビングでは父さんの弁当を作っていた母さんがギョッとした顔で「まさか部活に行く気か」と聞いてきた。
…まぁ、普通そう思うわな…。

理由を簡単に説明すると、母さんは「部長さんも大変ね〜」と苦笑まじりにそう言った。

「大変な部長さんには、美味しいモーニングを食べさせてあげるわ!」

と母さんは言って、鼻唄まじりに弁当と並行して俺の朝食を作り始めた。

ジューというモノを炒める音を聞きながら、俺は福永のことを考えていた…


「悠斗は純タンの事が好きなんだねぇ…」


つい先日に薫から言われた一言。

これが昨日から頭を離れなかった…



福永は、真面目で、素直ないい奴だ。

少し真面目過ぎるところもあるが、本当に野球を好きなのは伝わってくるから…それもまぁしょうがないか…

と思ってしまう。


好きか嫌いかなら、当然好きだ…

だが、薫が言っていた「好き」とは違うように感じてならない…

「先輩は優しいですね…」

そう言いながら微笑んだ福永の顔が頭に浮かんでいた。


「悠斗!悠斗!」

ハッとして顔を上げると母さんがいぶかしんだ顔で俺の顔の前で手を振っている。

「…な、なんだよ…」

「何ボーッとしてんのよ。しかも変ににやけて気持ち悪い…」

「はぁ?」

にやけてる?俺が?

「…もしかして…彼女でも出来たの?」
急にニヤニヤする彼女。予想もしてなかった一言にドキッとしてしまった。

彼女…?

「な…何言ってんだよ!そんなんじゃねぇよ!」

慌てて否定すると、面白くなさそうな顔で

「なんだ〜、好きな人でも思い浮かべてたと思ったのにな〜なんなら赤飯炊いて祝ってやろうかと思ったのに〜」

わざとらしく「ちぇ〜」などとと言いながら、作ってくれた朝食を机に並べる。


俺は平静を装いながら、内心は母の言葉で頭がいっぱいになっていた。

彼女?

好きな人…?


福永を…?


違う!そんなんじゃない!

そんなんじゃない…


…と思う。


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