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少年小説
不安
「はぁ?和馬を預かれ?!」

朝っぱらからの冴子さんからの電話は内容も突然だった。

「…え、何があったんだよ?」

『いやさ、私ついに妊娠したのよ!』

「…あ、そうなんだ。おめでとうございます。」

『ありがとう♪』

冴子さんの声は完全に舞い上がっている。しかし、そんなに簡単な問題ではない。

「って、それとこれとは関係ないだろ!」

『いや、初めてだし、不安だから実家に帰ろうかと思って…』

「…いや、だからって…」

『だって、半年も学校休ませるわけにはいかないじゃない?』

「…そんなに早く帰る必要があるの?」

『宗一さんがいいって言ったからいいのよ。』

「…兄さんが…?」

冴子さんの非常識さより、兄さんが許可を出したことに呆けてしまった…

兄さんは…和馬のこと…もうどうでもいいのか…?和江さんがいなければ和馬に興味はないのか…?

電話口の冴子さんは急に小さな声になる。

『あと…が……なのよ…』

「え…なんて?」

ハッとして聞き直す。

『うちの母さんが和馬のこと苦手なのよ!』


確かに…冴子さんの産みであり、育ての親だ…和馬の奥手ぶりにはカリカリしそうだ…


…和馬のことを考えれば結論は決まっている。


「…わかった預かるよ…」

『ありがとう!聞いた?和馬!真司さんが預かってくれるってさ!』

な…まさか!

「ま、まさか!そこに和馬がいるのか!」

『そうだよ。なんで?じゃ14時に私出発するからその前に来てね!それじゃ!』

ブツッ

勢いよく切られた電話と呆然とする自分がいた…。

い、今の話を当の本人がいるところでするか…?
冴子さんは何を考えてるんだ…
和馬の事だ。口には出さないにしろ状況は完璧に把握している…

電話口から僕の声は聞こえていないにしろ、冴子さんの話の感じから僕が預かることに乗り気じゃないと考えているだろう。
そして、冴子さんのお母さんに嫌われ、冴子さんに置いていかれ、兄さんに無視されたことを理解した上で我慢しようとするのだろう…

急に不安になる…

早く…早く和馬の所に行かなくちゃ…!


俺は車の鍵をひっ掴むと一目散に家を出た。



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あきゅろす。
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