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小説
お昼寝日和、嫉妬心。(戴翠
「戴宗さん」

翠蓮はゆっくりと諭すように名前を呼んだ。
そして
「何」
「何で私は膝枕をしているんですかぁぁぁ!?」
戴宗に膝枕をしているというこの状態に絶叫した。


「おたくさぁ、脳みそ割られたいの?」
「すみません…」
何で私謝ってるんだろう。
耳元で絶叫した翠蓮は戴宗に頭突きをされ、呻いていた。
でも戴宗さん。
あなた絶対自業自得ですからね。
師匠を膝枕して休んでいた翠蓮は、こちらに向かってきた戴宗を見つけ声をかけたのだ。戴宗はいつもより若干目つきを悪くして足早に向かって来た。いきなりの行動に混乱した翠蓮は絶叫したというところだ。
それでも物騒な物言いをした戴宗は本当にやりそうだったので、自業自得なんて言えない。

「でもどうしていきなり寝転がったんですか?」
「そんなこと知るか」
「自分の事なのにぃ!?」
ただ、やはりいつもとは違う戴宗が心配になってくる。


本当に理由はとくにない。

ただ師匠に膝枕している翠蓮に何故だか無性に苛ついて。
(何で師匠にやってるわけ)
師匠は確かにブサカワという部類に入るので、翠蓮もやりたくなったのかもしれない。

が。

そんな風に幸せそうな顔をされるとざわざわする。
ちょうど、自分の胸のあたりが。
師匠が羨ましい。

(……?あれ。)

師匠が、羨ましい…?
これではまるで翠蓮に膝枕されたいと言っているようなもの。
師匠が羨ましいし、多少恨めしい。
これを『嫉妬』と俗世では言う。


(俺、師匠に嫉妬して…。だからつまり?)

翠蓮が……………


「ほわわっ!?た、戴宗さん?どうしたんですか!?」
「うるせぇぇぇ!!こっち見んな!!おたくしばらくしたら起こせよ!!!」
あまりに形相があれだったので、
「はいぃぃっ」
しばらく固まって危険を回避した。

今日は快晴でお昼寝には最適。
膝に心地よい体温があり翠蓮もだんだんと瞼が落ちてくる。
「…ちょっとだけならいいよね。」
 
しばらくあと、林冲に起こされ戴宗は機嫌が急降下したまま任務につくことになった。
その背後には、必死に機嫌を直そうとしている影があったそうな。
 



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