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青祓
友達
手を繋いで外に出た

最後に見た時計の針は、5時を過ぎていた
















今日は雨が降っていたから、いつもより数段寒かった。
僕は寒いのが嫌いだ どれほど着こんでも変わりはしない



でも冬は好きだ。奥村くんと夏より、長くいられるから








朝よりはマシになった雨の中、傘もささずに歩く。
「ねえ寒いよ」文句を言うと、奥村は手を強く握る






「白鳥、見ろよ 夕焼け」

空が赤に染まっていた。どんよりとした雨雲の間を、沈んでいく太陽が赤く染め上げる


きれいだと思った

ポツリと雨が頬を叩く 雨は本格的にやみはじめたようだ



「雨、やみそうだね」
「うん」

人より少しだけ長い耳のさきが、赤くなっている


「寒いな」

白い息を吐いて笑う




奥村は、上は制服のシャツだけでいるから僕の倍は寒いだろう

「ばか 厚着しろよ」
「着こんでも変わんねーだろ」

そうかもしれないけれど少しは変わるんだよ





「白鳥、夕焼けきれいだな」


正直 僕は赤色が嫌いだ

派手だし、目に優しくないし、きれいだなんて思ったことがない

そう言うと奥村は「でもお前 一瞬だけきれいだなって思っただろ」なんて笑う

うるせえ、と蹴れば痛えよ と返される



奥村のことが好きなんだな なんて思う
今さら何を、そう考えて意味もなく笑う。




きっと、僕はずっと奥村の友達なんだろうけれど


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あきゅろす。
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