青祓
結婚
燐白
「奥村くん」
ダラリと垂れた腕をすくう
そうすると、弱く小さな声で名前を呼んだ
「白鳥 好き」
「そればっかり」
顔を近づけてキスをする
お互いの少し荒れた唇をくっつけたまま、空いている手を胸にあてる
「もう 時間がない」
唇を離して 俺はポケットに無理やりつっこんだ小さな袋を取り出す
「白鳥、ほんとは 俺たちが大人になってからのはずだったんだけど」
指輪なんて高いものは、今の俺にはとうてい買えるわけがなかったけど、理事長サマになんとか頼みこんで買ってもらった
「今日が結婚記念日だな」
気持ち悪いくらい細くなった白鳥の指に指輪をはめると、サイズが少しあってなくて指輪がずり落ちる
「僕はもう 無理かもしれないけど、 奥村くんに会えて良かった」
見たことないくらい綺麗な顔で、白鳥は微笑んだ
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