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天使と悪魔の事情
dawn.1 闇を照らす光

 ――気に入らないのは、その頑なな決意。

使


 女神が消えた後、残された主神は生まれた天使たちに力を与え、そして人間の世界と神界との懸け橋役としての使命を与えた。

 他の神話のように、アーセレスの天使たちにも階級がある。
 位の高い階級――《熾天使》・《智天使》・《座天使》といった上級天使たち。その中でも、能力が高く特殊な力をもつ階級代表の天使を、アーセレス世界では《選天使》と呼ぶ。

 さらに、下級天使の中でも、熾天使以上の力と信頼をもつ天使たちを《敬天使》という。上級天使と比べ天使階級そのものは低いが、地上世界と天界の橋渡し役、及び魔物を取り締まる最前線の戦士でもあるために、敬意を表してそう呼ばれる。
 そのため《敬天使》は《選天使》よりも事実上立場は上であり、《敬天使》は《選天使》を従えていることになる。

 その誰よりも力をもち、すべての天使の頂点に立っていた天使がいた。

 《熾天使》ルシファーである。

 彼は多くの天使を従え、地上世界で出没する悪魔や魔物を取り締まるリーダーであった。

* * *

 ――あるとき、一人の天使が己の感情に負け、主神に悪意を向けたために、魔物に堕ちてしまったのだった。

 その者はいずれサタン《魔王》と呼ばれるようになる。

 そうして起こった天使と悪魔との大きな騒乱――【地上聖魔戦】。

 多くの戦士が犠牲となったこの戦いは、天使優勢の引き分けで終わり、両者の間に決定的な敵対関係を築いた。

 ルシファーはこのときに、天界と地上世界を完全に統合させるべきだと訴えた。
 これ以上の魔王を生み出すことのないように、神話界全体を統一するということであったが、主神はそれを無理だとして拒んだ。

 訴えを退けられたルシファーは、この一件で天界と袂を分つことになる。
 サタンのように主神に刃を向けることはなかったが、彼に賛同し従った天使たちと共に、彼らは天界から去っていった。
 やがて地上世界へと身を潜めた彼らは、人間の心がいかに揺れやすく危険なものかを思い知らせるために、人間の“心の闇”を具現化させては、悪魔を取り締まりに来る天使と戦わせるようになった。
 それ以来、彼らは《堕天使》と呼ばれる。


 こうして、アーセレス神話界には天使・悪魔・堕天使軍の3つの勢力ができあがったのである。

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