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騒擾恋愛
プロローグ





俺がこうなっちまったのは、中学一年のあの出来事がきっかけだと思っている。

俺は元々、他の奴らよりも成長が極端に早かった。身長は頭一つ分ほど飛び抜けていて、2、3歳は年上に見られた。喧嘩をすれば俺に勝てる友達はいなかったし、昔の言葉で言うならば、まさにガキ大将。自分の小さな世界で王者気取りだった。

特に問題のなかった暮らしが激変したのは、中学に入学してからだ。いい加減な両親の元でごく普通に育った俺は、親父に小さい頃から髪を金髪に染められ、そしてそれ以来、髪が真っ黒になったことはなかった。それにより上級生に目をつけられ、新生活早々呼び出されることになったのだ。

俺は、自分の力を過信しすぎていた。2個上の先輩達など簡単にのせると思っていのだ。だが現実は多勢に無勢。俺はこてんぱんにやられ、みっともない敗北を味わうことになった。

あんな屈辱的な負け方をしたのは、生まれて初めてだった。悔しくて悔しくて、まともに眠れない夜が続いた。懲りない俺は奴らに勝てるまで、何度も何度も喧嘩をふっかけた。そんなことを繰り返しているうちに、2年になるころには俺に勝てる奴は誰もいなかった。
そしてその頃には、たとえ何人殴ってどんなに強くなっても、満足することはできなくなっていた。

なぜ俺は、こんなことを繰り返しているのだろう。どれだけ自問自答し続けてもわからない。自分でも、もう止めることはできなかった。


際限なく、俺は喧嘩を繰り返した。



親父が出張で家にいない間を見計らい、お袋は俺にカウンセリングとやらを受けさせるらしい。催眠療法、とやらを試すのだそうだ。そんなことをしてもきっと時間の無駄だろう。俺のこの疼きと衝動は、誰にも止められない。自分の中の獣が血を求めて、今も俺の奥底で暴れている。誰かを傷つけ、傷つけられることを渇望しているのだ。


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