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神様とその子供たち
悪い夢※
イチ視点で、イチ+ロウ×カナタの殺伐夢オチからのほのぼのです。18禁。何でも許せる方のみお読みください。




カナタからロウが好きだと言われた時、ついにこの日が来たと思った。
父に好意を向けられて、断れる者などいない。むしろよくここまで自分と恋人でいてくれたものだと感心すらする。

謝りながら別れてほしいと言ってきたカナタの申し出を、私は身を切る思いで受け入れた……はずだった。


「イ、イチ様っ……!」

強くベッドに押し倒して、乱暴に服を破って脱がせる。混乱するカナタに馬乗りになり、無理矢理唇を奪った。

「んっ、な、……なん、で……んぅ」

唇に噛みつくように何度もキスをして、その小さな舌に自分の長い舌を絡ませる。カナタは嫌がって暴れていたが、力のないカナタがどれだけ本気を出しても、子猫がじゃれついているくらいにしか感じなかった。

「あ! や、やだっ……!」

これまでいつもいつも、優しく触れて解していたカナタの中に容赦なく指を捩じ込む。何故か中はすでに十分に広がって、いつでも挿入できる準備が整っていた。自分の大きく固くはりつめた性器の先端を尻にあてがうと、カナタが暴れ始めた。

「……やめてっ、やめてイチ様っ」

嫌がるカナタの言葉を無視して、熱く昂った肉棒をずぶずぶと容赦なく埋め込んでいく。嫌だ嫌だという悲鳴に近いカナタの声が、胸をかき乱す。自分は何をしているのか。こんな酷いことをして、もうカナタに顔向けできないとすでに後悔し始めているのに、腰を動かすことをやめられない。

「やっ、あ、あんっ……も、やめ、やめて、くだ、さっ……」

「くっ……」

「ゆるして……おねがい、お願いします……っ」

愛している。愛していて一生かけて大事にしていくはずだったのに、その恋が叶わなかった瞬間、無理矢理犯すなんて。自分が犯罪者のケダモノになったという事実を突き付けられて、目の前が真っ暗になる。それなのに身体は興奮して、性器が膨らんでいくのを感じた。

「や、中、中だめ……出さないでっ」

中に出されそうになっていることに気づいたカナタは、暴れて泣き叫んでいた。可哀想だと頭の片隅で思いつつも、汗ばむカナタの腰を固定して容赦なく中に精液を流し込んでいく。

「ん、んん〜……っ!」

中に出されることに最後まで抵抗して、顔をしかめながら身をよじる元恋人。苦しそうに悶えるその姿を見て、息を吐くと同時にずるりと性器を引き抜くと、中から己の出した白くどろっとした濁りが大量に溢れ出る。人狼の精液は一度に人間の何倍もの量が出る。カナタの小さなそこに受け入れられる量ではない。

すべてが終わった後、カナタは泣いていた。恋人だった時も、人間のカナタが人狼に抱かれるのはかなり身体的負担が大きかったはずだ。それでも嫌な顔一つせず、いつでも受け入れてくれていた。


「おいおい、酷いことするなぁ。いっちゃん」

突然聞こえた父親の声に面食らう。顔を上げると目の前に父親がいて、涙を流すカナタの頭を撫でていた。

「ハルト、大丈夫か?」

「ロウ様ぁ……」

本名を呼ぶ父が寄り添うと、カナタが泣きついた。父はカナタを抱えて膝に座らせ、優しくキスをする。

「んぅ……んっ」

後ろからカナタを抱きしめ顔に手をかけ、後ろを向かせてキスを続ける。無理な体勢を強いられているのに、カナタは自分から口づけを求めていた。

「イチ、お前なら俺がハルトのこと、どれだけ好きかわかるだろ?」

ロウにそう言われて、何も言い返せなくなる。カナタは父にとって、誰よりも特別な存在だ。昔死なせてしまったことで、父にとても深い傷を残した。再会してカナタを愛するようになったのは当然のことだ。

「俺にゆずってくれよ。いいよな、イチ」

父のためなら何でもできると思っていた。カナタが好きならば譲れるとも。しかし実際そうなった今、この有り様である。

今まで好き勝手に犯されていたカナタの入り口からは、白い液体が少しずつ溢れている。そこに私のものではない性器があてがわれ、どんどん飲み込まれていく。中に残されていた精液が溢れ、太股にまでつたっていく。後ろから抜き差しされ気持ち良さそうに身体を震わせるカナタ。その光景が目に焼き付いて、胸が苦しい。頭がおかしくなりそうだった。

「あっ、ああん……あはあっ」

「ハルト、可愛いなぁ」

「ロウ様、好きっ好きぃ……っ」

カナタの甘い声に、脳震盪でも起こしたのかと思う程の衝撃を受ける。以前、父がカナタを抱いたと知った時は嫉妬と怒りで気が狂いそうになった。それを認めたのは自分のはずなのに馬鹿な話だ。いったいどんな風にカナタが抱かれたのか、少し想像するだけで身体が怒りに震えた。今それをまざまざと目の前で見せられて、もう限界だった。

「……っ!」

父に挿れられて喜び喘ぐカナタの顔を、私は無理やりこちらに向けさせて、力なく開きっぱなしになっていた口にキスをした。カナタは驚いていたが、最早抵抗する力もないのか、されるがままになっている。こんなに好きなのに、もう自分のものではない。身も心もロウのものになってしまったカナタとのキスは涙の味がした。




「……っ!!」

目覚めてすぐ、胸の上ですやすやと眠るゼロの顔が見えた。最近急成長を続けるゼロは、ずっしりと重くなって私の胸を圧迫していた。
早朝のまた薄暗い時間帯、カナタが私の横に寄り添うように眠り、父がその後ろからカナタに抱きついたまま眠っていた。

酷い夢を見た。全身が汗でぐっしょり濡れているのがわかる。細部までしっかり思い出せる現実のような夢に、私は真っ青になっていた。

(なんて夢だ……)

酷い、あまりに酷すぎる夢だ。淫夢にしたってもっと他にあるだろう。隣ですやすやと穏やかに眠るカナタを見ていると、夢で良かったと安堵すると同時にとても申し訳ない気持ちになった。

あんな夢を見てしまった原因に心当たりがないことはない。いつかカナタを父に取られてしまうのではないかと不安なのだ。父ははるか昔、ハルトという名前だったカナタのことを思い出した。それなのに私には何の記憶もない。イチという名前だって、カナタがつけてくれたのだと父から聞いた。カナタを見つめる父の瞳を覗くと、誰よりも深くカナタのことを知っているのだと思い知らされる。仕方のないことだとわかっていても、カナタとの繋がりの強さはどうしても父に負けてしまう。
しかし今、カナタのことを思う気持ちが、父より劣っているとは絶対に思わない。


私の恋人を抱き締めて眠る父を見ていると、夢のこともあって今朝はどうしても見過ごせず、ゼロを起こさないようにそっと横に寝かせてからロウを無理矢理引き剥がそうとした。しかしカナタを抱き締める力が思いの外強くて簡単には外せそうにもない。仕方なく父に馬乗りになり、渾身の力を込めて腕を外した。

「んん……」

カナタから離すことには成功したものの、父の目が覚めてしまいそうになる。半目の父がこちらを見上げ、顔を傾けた。

「……んん? いっちゃん、どした? ……だっこ?」

「は?」

笑顔の父親に突然ぎゅっと抱き締められて、キスをされた。まさかの口にだ。

「!?」

幼い頃は何百回と口にもキスされていたが、大人になってからは勿論したこともされたこともない。寝ぼけた父には私が幼い頃の姿にでも見えているのだろうか。

「いっちゃん、かわいいねぇ」

優しい笑みを浮かべた父はそう言った後、再び眠りに落ちてしまった。今までの不眠症が嘘かのような爆睡っぷりだ。

今みた酷い夢で父にとんでもないことをさせてしまった罪悪感で、自己嫌悪に陥る。謝罪の意味も込めて父親の胸に顔を埋め、ぎゅっと抱き締め返す。数秒そのままの体勢で横になっていたが、すりすりと頭を擦り付けた後ゆっくり顔を上げると、隣で寝ていたはずのカナタと目が合った。


「…………」

「違う」

咄嗟にカナタにそう言ったものの、何が違うのか自分でもわからない。いつの間に目覚めていたのか。人間とはここまで目が大きくなるものなのかと驚くくらい開かれていた瞳を、カナタは手で覆った。

「僕、何も見てません」

なのでお気になさらず、と言ってそのままそっぽを向いてしまうカナタ。その後自分でも訳のわからない弁明をしたが、カナタは寝たふりをしてしまった。

その日はカナタと顔をあわせるたび「違う」と口にしてしまっていたが、彼は生ぬるい視線と微笑みを私に向けながら「ほんと何も見てないんで」としか答えてくれなかった。




おしまい
2022/11/20

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あきゅろす。
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