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神様とその子供たち
004


ハツキは四群のリーダーの四貴であり、ロウを狂信的に愛している男でもある。ロウの側にいた僕を出会い頭に殺そうとするというクレイジーな一面を持つので、二度と関わりたくないと思っていたが今は僕の目と鼻の先にいる。その彼が持ってきた“手土産”にロウは驚愕していた。

「お前……そんなのどうやって見つけたんだよ」

「ロウ様が今一番求めているものかと思いまして、俺の持てるすべての力を総動員して探しだしました。もちろん証拠も提示できますよ」

ロウはピンと尻尾と耳をたてたかと思うと、立ち上がって勢いよくハツキに抱きついた。

「よくやった! お前は本当によくできた子だ!」

「ロウ様……!」

ハツキもロウを抱きしめ返してご満悦の表情。スイだけが「だから動かないでくださいってば!」と必死に叫んでいた。

「連れてきてますけど、勢い余って殺しちゃダメですよ。実行犯より首謀者を見つけなきゃいけませんから」

「俺が拷問したい! する!」

「ロウ様をあんなクズに会わせるなんてできません。俺に全部任せてください。ロウ様の要望ならどんな拷問もこなしてみせます」

恐ろしい会話が二人の間でかわされている。ハツキはちゃっかりロウの手を握っていたが、喜びで興奮しているロウは気にしていない。

「それより、ご褒美のデートはまだですか?」

「あ」

「先日、約束してくださいましたよね。あれから大人しく待っていたのに音沙汰なくて悲しいです」

「わかった、悪かった。今日でよければあいてるから、ずーっとお前と一緒にいてやるよ」

「ロウ様!」

嬉しそうにロウに寄り添うハツキ。「あいてるんじゃなくて休んでもらうためにあけたんです!」と隣でスイが怒っていた。

「本当に、本当にヒラキを殺した人間を捕らえることができたんですか……!?」

ずっと地面に額を擦り付けていたハクトがハツキに訊ねる。ロウとの時間を邪魔するなと言わんばかりに彼を睨み付けながらハツキが応えた。

「ああ」

「一体どうやって? 我々も探していましたが手がかりすら見つけられなかったのに」

「そりゃお前達だけじゃ限界があるだろうな。犯人を捕まえたくて必死なのはわかるが、そのために三貴になることにばかりかまけているようじゃ駄目だろうよ」

ハクトは再び跪き、地面に額をこすりつけんばかりに頭を下げた。

「私達だけではこんなに早く捕まえることはできませんでした。本当にありがとうございます…! 本当に……本当に…」

どうやらハクトは泣いているようだった。彼はヒラキを殺したテロリストを見つけるため、三貴になろうとしていたらしい。確かに三貴と警護に失敗した護衛とでは捜査に関われる範囲が変わってくる。それほどまでにヒラキを死なせてしまった事を悔やんでいるということだろう。


その後、ロウは以前したハツキと一日一緒に過ごすという約束を守るため別室で療養することになった。怪我をしているのに大丈夫なのかと不安だったがスイが付き添ってくれるようなのでほっとした。
地下の部屋からみんないなくなり、キリヤと二人だけになる。キリヤは今にもうなり声をあげそうになるほどいきり立っていた。

「ど、どうしたんですかキリヤ様」

「ハツキの奴……ロウ様に馴れ馴れしくベタベタと……」

キリヤもハツキが嫌いらしい。キリヤが食い縛った口元から立派な牙がのぞいている。

「ロウ様はハツキに甘すぎる。あの方の中では昔世話していた頃の幼い姿のままなんだろうが、現実は狡猾でデカい図体した大男だ。スイ様がどれだけ言ってくださっても警戒なさらないから困る」

「でもロウ様もハツキ様のことヤバい奴だって言ってましたよ」

「自分だけは大丈夫だと思っていらっしゃるんだよ。一度襲われかけたことがあるのに、呑気なものだ」

「襲……あの、それってどうやって未遂に終わらせたんですか」

「ロウ様が返り討ちにしたに決まってるだろ。馬鹿なことするなって徹底的に痛め付けてたから諦めるかと思ったが、次の日にはけろっとしてたな」

「痛め付けたんですか?」

しかしロウよりハツキの方が大柄なのに瞬殺なのか。ロウが誰よりも強いというのは事実らしい。

「ロウ様のお前への気持ちをハツキが知ればお前は殺される。アイツの前で間違ってもロウ様といちゃついたりするなよ」

「いちゃつくって!」

憤慨する僕を無視してキリヤは落ち着かない様子で部屋を歩き回っていた。その後も無線でロウについているらしいトキノとこまめに連絡を取りあっていた。ハツキと一緒にいるロウが心配でたまらないらしい。そして日が暮れかかった頃、側にいたキリヤの大きな呻き声にソファーでうとうとしていた僕は飛び起きた。


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あきゅろす。
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