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神様とその子供たち
兄弟たち


それからしばらくの後、ロウの七番目の子供であるナナがやってきた。ハツキはどうなったのか部屋にいる僕には知るよしもないが、現れたのがナナの方でとりあえずほっとした。

「親父! 大丈夫か!?」

部屋に入るなりロウを抱き締める。この辺は他の人狼と変わりがない。

「なー君なんで来たの」

「親父が原因不明のウイルスに感染したって聞いたから…」

「何だそれ」

なー君呼ばわりされたナナはロウを腕に抱きながら嬉しそうにしている。二人が並ぶと本当にそっくりだ。親子ではなく兄と弟のようだが。

「バカなこと言ってんなよ。お前なら俺が何でここにいるのかわかってるんじゃねぇのか」

「ああ、まあねぇ」

ナナの視線が僕に移る。そして笑顔で僕に手を差し出し握手を求めてきた。おずおずと手を出すと、ぎゅっと握りしめてきた。

「久しぶり、カナタ」

「お久しぶりです」

僕の手を引いて耳元に顔を近づけてくる。身を引く暇もなく小さな声で囁かれる。

「な、俺の言う通りになったろ?」

ナナが目を見開く僕ににっこり微笑む。すぐに手を離してくれたのでなんとなく彼とは距離をとった。

「さぞ俺が恋しくて眠れない夜を過ごしてるだろうと思ってたんだけどなーー。まさかもう親父とこんなに急接近してしまってるとは」

「あ、あの……」

「いやぁ、まさかあの親父が人間をねぇ……何が良かったんだろ? まさか体の相性?」

ナナは何か大変な勘違いをしているのではないだろうか。さすがのロウもすぐに否定した。

「お前が囲ってる人間達とカナタを一緒にするな。体の関係なんかあるわけねぇだろ」

「えっ、じゃあ何で一緒に寝室にいんの?」

「それはだな……」

ロウが僕がいるとぐっすり安眠できる旨を伝えると、ナナの表情がぱあっと明るくなった。

「良かったなぁ、親父。眠りが浅すぎて正直機敏さが年々衰えてきてたもんな」

「ああ」

「それでいつまでここで休養すんの?」

「カナタを連れていくつもりなんだけど、いっちゃんが許してくれねぇんだよ」

「え!? 兄貴嫌がってんの? 何で?」

「いっちゃんはカナタと付き合ってるから、離れたくないんだと」

「付き合ってるぅ? 俺それは知らねぇんだけど!」

ロウとナナがもめていると、突然扉が勢いよく開いた。全員が注目を集めたその人は僕が一番会いたくなかったハツキだった。


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あきゅろす。
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