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日がな一日
008※


ショックを受けた律花をやっとの思いで宥め説得して、瀬田と夏目が寮に戻ったのは門限ギリギリだった。コンビニで買ったおにぎりを持って、夏目の部屋まで一緒に行く。生徒会専用の浴場をこの日だけは借りる事にした。



「外で誰にも会わなかったか」

風呂から戻ってきた瀬田に心配そうに訊ねる夏目。彼は最初、付き添いを申し出てきたがそれは過保護すぎると丁重に断った。幸運にも誰とも鉢合わせなかったので首を縦に振る。

「なら良かった。飯にしよう。お腹すいただろ」

「先に食べててって言ったのに」

「一緒に食べたかったんだよ。最近、ずっと会えてなかったし」

夏目がおにぎりの封を開けて、座るように促す。瀬田は腰を下ろして注いでもらったお茶を飲み干した。

「ああ……そういえば、喧嘩してたんだった」

「……俺の事、もう怒ってない?」

叱られた子犬みたいな顔で訊いてくる夏目に思わず頬笑む。怒ってないよ、と彼の頭をそっと撫でた。

「今日、うちに来てくれて嬉しかった。ありがとう」

「いいんだよ、そんなの。それにそういうことは飯が終わってから言わないと」

「何で?」

「その流れから柊二とイチャつけねえじゃん……」

「……」

「その目はやめろよ! だって、ずっと会えてなかったんだからしょうがねえだろ。俺がどんなに柊二のことが好きかわかってるくせに」

拗ねる夏目に照れる瀬田。ポスターを捨てられた事をあんなに怒っていたのに、謝ってもらったわけでもないのに今ではもう許してしまっていた。

「俺なんか柊二が好きってことくらいしか取り柄ねぇもん。柊二と合意でエロいことできるって特権があるから、これからも生きていこうって思えるんだろ!」

「……いや、他にもあるだろ、俺とできること色々」

身体目当てなのかと勘違いしそうになる発言に頭を抱える。そんな迂闊なところも可愛いと思えるのだから自分も相当末期だ。

「そりゃ俺だって柊二と出掛けて食事したり旅行したり色々したいよ。でもそんなの友達とだってできる事だろ。俺は、柊二が俺としかできない事をしたいんだよ」

「……だったら、これをさっさと食べよう」

「え」

「俺も彼氏が側にいてくれなくて、寂しかったんだよ」

自分達は付き合い始めたばかりのバカップルなのだ。ちょっとした喧嘩なんかですれ違ってる場合ではない。あからさまな瀬田からの誘いに、真っ赤になった夏目は今にも卒倒しそうだった。






広いベッドの上に押し倒され、深い口づけを交わし、服を脱がしながら脱がされながら縺れ合う。互いの興奮と盛り上がりが最早終盤のそれだった。

「んっ……夏目く……んん……」

「柊二、好き。可愛い」

こんな風にすべてをさらけ出して愛し合うことにまだ慣れたわけではない。まだ恥ずかしいし、期待と困惑と、不安もある。それでも夏目は何だかんだいっても瀬田を気持ちよくさせることを優先して、抑えきれない程の愛を囁くので瀬田は幸せだった。

夏目に触られると、自分でするより何倍も気持ちがいい。瀬田は挿れられる側だが、後ろをほぐす過程で夏目が前にも触れてくる。そんなことはしなくてもいいと言ったが、その方が気持ち良さそうだと図星をつかれてからは好きなようにさせていた。

「あっ、ちょ……!」

やんわりと勃ち上がって瀬田のものを、夏目が躊躇いもなくくわえる。今まで手でされたことしかなかったので、飛び上がって驚いた。

「や、やめてやめて! そんなことしなくていーから!」

「……あんで? きもひよくない?」

「そう言う問題じゃなくて! だって、夏目くんにこんなことさせるなんて……」

奉仕ならすでにやってもらっているのに、そこまでさせられない。断固拒否する瀬田に夏目がようやく口を離してくれた。

「俺だって柊二にやらせたんだからおあいこだろ」

「俺と夏目くんがするのは違うよ…! だって……あっ」

自分の汚いものを夏目の口に入れるなんてあり得ない。そんな事をしてもらうなんて申し訳なさすぎる。

逃げようとしても身体をしっかりホールドされて、夏目に中心を舐められる。嫌なのに気持ちがよくて身体が動かない。涙目になりながら悶えている姿を見て夏目は満足そうだった。

「んっ……!」

前を刺激されるのと同時に後ろの穴に指を挿入される。いつのまにか手際よく準備していたらしくローションを塗り込められ丁寧にほぐされていった。

「夏目くん、イく……から、口はなして」

「出ひていいよ」

「無理! や、駄目……あっ」

あっけなく達してしまった瀬田は、夏目がそのまま飲み込んでしまったのを見て真っ青になる。

「な、何やってんの!? 今すぐ出して!」

「もう飲んじゃった」

「なんて馬鹿なことを……っ」

「柊二のだったらなんでも飲めるよ」

「何言って……んんっ」

中をゆっくり広げられて非難することも出来なくなった。夏目は唇を舐めると中で指を激しくかき回してきて、思わず瀬田の腰もびくびくと揺れる。

「あっ、な、夏目く…ん。あっ」

「俺……」

「な、なに……?」

「柊二ん中、そのまま挿れたい」

「……」

切羽詰まった様子の夏目の首に、息を整えながら手を回す。彼を迎え入れる体勢をとって、勃ち上がったモノに触れた。

「…俺も、いれて欲しい……それで、…のままっ、中に出しても…い…から、ああっ」

瀬田にこれでもかというくらい煽られて、勢いよく挿入する夏目。まだ回数を即答できる程しか経験のない瀬田の中はキツく、顔を少ししかめながら苦しそうに喘ぐ。

「あっ、やあ……やだぁ、も、ゆっくり……あああっ」

「柊二っ……」

熱い杭で容赦なく貫かれ続けて、瀬田の顔は涙と汗でぐしゃぐしゃだった。直に繋がっているせいか、いつもより感じてしまって声も大きくなる。好きだ好きだとうわ言のように囁かれ、それだけで夏目がしてくる何もかもを許してしまう。

「…俺、すげぇ気持ちいい。柊二……もっと……」

「ぅあ……んっ……あ、あ、俺も、ああっ」

みずから広げた足を夏目に両手で強く押さえつけられ、激しい律動が繰り返される。夏目のものが出たり入ったりを繰り返し、いいところにあたるたび自分の口から喘ぎ声が飛び出す。しびれるような快感に声が抑えられない。夏目が足を持ち上げて最奥に届くよう腰を強く押し付けてきた瞬間、中に熱いものが流れ込むのがわかった。

「は……はぁ……」

「……あつい」

「……ごめん、無理させて。痛くないか」

「うん……」

気持ち良さそうな夏目の顔が見られて、瀬田はそれだけで満足だった。瀬田の方からキスをすると、夏目は嬉しそうにそれに応える。
再び煽られた夏目が第二ラウンドを始めるまで、しばらく二人は繋がったままベッドの上で抱きしめ合っていた。


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