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日がな一日
004※


彼の言う通り、夏目に抱かれれば名実ともに瀬田は夏目のものになるのだろう。流されて椿と孝太とも寝てしまった瀬田にとって、拒む理由などない。そんなもの持ってはいけないくらいだ。瀬田を一途に思い続けてくれた夏目に申し訳ない。
孝太はともかく、椿と身体を繋げたことを後悔したことはなかった。けれど今になってようやく、あれはするべきではなかったと思った。夏目だけでなく椿にも申し訳なかった。

「…わかった。いいよ。でも生徒会のみんなには、俺の分まで謝ってくれる…?」

「それはもちろん」

夏目の返事と同時にくる熱い口づけを受け入れる。手際よく服や下着を脱がされた時にはお互いすっかり息があがっていた。

「柊二…」

「そんなに見るなって」

まだ外は明るい。カーテンを閉めきって電気を消していても全身がまる見えだった。瀬田はシーツを手繰り寄せ下半身だけでも隠そうとしたが、それはすぐに止められた。

「それは無理。ずっと見てたいくらいなのに」

「男の裸なんか見たら、やる気なくなるかもしれないだろ」

恥ずかしさのあまり出た言葉だが、夏目は元々男が好きというわけではないようだし萎えてしまう可能性はある。瀬田は身長の割には線が細いが、無駄に大きすぎるし女子のように華奢ではない。

「やる気がなくなる? 嘘だろ」

夏目が下着を脱ぐと、彼のものはすっかり勃ちあがっていた。その立派な大きさに瀬田にはそれが恐ろしく思えて嬉しいと同時に逃げたくもなった。
夏目は横にあった棚から手際よく取り出したゴムを装着する。一緒に持ってきたのはローションで、自分の手の平に垂らしたそれを、瀬田の後ろに塗り込んでいく。

「そ、そんなもの何であるんだよ…っ」

「柊二に使うために決まってるだろ」

「用意周到すぎる…! なんか手慣れてるし、夏目くんは誰かとこういうのした事あるの…?」

まさか男との経験はないだろうが、女の子とは経験済みでもおかしくない。夏目が童貞だった方が意外なくらいだ。

「そんなのねーよ。柊二が初めて」

作ったような笑顔の夏目の言葉に、なんとなく嘘だと思った。たいしたことではないから、なかったことにしている。そんな感じだ。瀬田は自分の事を正直に暴露したのだからもっと問い詰めてもよかったが、本当の事を知っても悲しくなるだけだ。夏目も瀬田によく思われたくて、傷つけたくなくてついている嘘なのだろうから。

「足広げて、全部見せろよ。柊二の中までちゃんと」

「うっ…」

ローションの冷たい感触に身悶える。指が瀬田の中に侵入してゆっくりとかき回され、身体が引きつりそうになった。夏目は瀬田の首すじを甘噛みしてもう片方の手の指先で胸の突起に触れてくる。一度に色んなところを攻められて、恥ずかしいなどと考える余裕もなくなっていた。

「あっ、ああっ…!」

瀬田の身体は自分の汗と夏目の唾液、そしてローションまみれだ。お互い冷房が効いているにも関わらず汗だくだった。夏目が指を動かすたび聞こえてくるいやらしい音、そして瀬田の喘ぎ声がこの部屋に淫靡な空気を醸し出していた。

「柊二、うつ伏せになって」

「なん、何で…?」

「その方が楽だと思うから」

そう言われてしまっては断れず、のろのろと指示通りに動く。夏目にも太ももを掴まれ、尻を突き出す姿勢をとらされた。

「な、夏目くん、これ恥ずかしい…っ」

「俺だって柊二の顔見ながら犯してぇよ。でも痛い思いはさせたくないし、これが一番楽らしいから」

とんでもない言葉を口にしながら口調だけは優しい。彼の視線が自分の無防備な場所に集中しているのがわかって、瀬田は泣きたくなった。

「んん…!?」

再び後ろに侵入してきたものに瀬田の身体は強張る。これは指ではない。もっと柔らかくて濡れている。恐る恐る後ろを見ると夏目が尻に顔を埋めていた。中を舌で舐められていると気づきこれまで何でも受け入れようとしていた瀬田も慌てて逃げた。

「ななな…っ、何してんだよ…!」

「…っ、大丈夫。指より痛くねーから」

「そっ、そういう事じゃない! てかそこでしゃべんないで…!」

夏目の舌が入れられるのも嫌だが、話すたび吐息を感じてしまうのも困る。これ以上1秒たりともこんな格好でいたくない。そんな瀬田の思いも虚しく後ろの穴を夏目の指は太ももに食い込むくらいの力で拡げてきた。

「んんっ…! もう、嫌だこれ……」

「柊二可愛い…すげぇ可愛い」

「そ、そんなとこ見ながら言う台詞じゃないだろ!! 馬鹿!」

さすがに我慢ならなくなった瀬田は夏目から逃げて蹴り飛ばそうとしたがあっさり足をとられ、仰向けで極限まで足を開かされた。再び夏目の指が中に入り、再び容赦なく拡げられていく。涼しい顔の夏目を瀬田は涙目で睨み付けていた。

「せっかく柊二が楽な方法で挿れようと思ったのになぁ。そんなに正常位がいい?」

「うるさいっ。夏目くんが、こんな……変態だなんて思わなかった…!」

「へぇ……。会長と萩岡はすぐに挿れてくれたんだ?」

「そんな言い方するのは、ズルいだろ…んっ」

ついには涙を溢れさせて顔をぐしゃぐしゃにする瀬田の内腿に夏目が優しくキスをする。中で暴れる指の動きは激しさを増し、喘ぐ瀬田に夏目は謝った。

「ごめん柊二。でもあいつらは、ただ早く柊二の中に入れて自分が気持ちよくなりたかっただけだぜ、きっと。俺は前戯だって時間かけてやりたい。よく慣らした方が柊二だって絶対いいと思うし。悪いけど、さっさと終わらせてやるつもりなんかねぇからな」

「……っ」

いいことを言っているようにも思えるが、この恥ずかしい格好をいつまで夏目に見せていなければならないのか。先程うつ伏せになっていた時ほどではないが、この無防備に足を開いた体勢だって十分恥ずかしい。彼の指は二本にまで増えて、瀬田の中でバラバラに動き続けている。それが夏目の目からはよく見えていることだろう。

「でも、こんなの…っ、もうやだ…早くしてお願い…っ」

「指じゃ物足りねぇんだ、柊二は。確かにすげぇ吸い付いてくるもんな、柊二のここ」

指を引き抜き収縮を繰り返す瀬田の窄まりをうっとりと見つめる。こんな辱しめはもう拷問だと思った。もはや気持ちよくて泣いているのか、怒りと羞恥の涙なのかわからない。

「夏目くんなんか、嫌いだ……」

「それは困るよ。俺はこんなに柊二を愛してんのに」

「だって、早く挿れてって言ってんのに……全然きいてくれないし…」

泣きじゃくる瀬田の目尻を指でぬぐって何度もキスをする夏目。彼には昔の面影が少し残っていると思ったが、そのいじわるそうな笑みを見ていると完全に別人だ。とてもあの時の少年と目の前の男が同じだとは思えなかった。


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