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未完成の恋(番外編)
020



愛のないセックスは、辛いだけだ。そこには何の快楽も喜びもない。
だが愛ならある。俺の方にのみ、溢れるほどの愛が。






「あ、ああ! …っ」

俺が木月にしていることは正しくはないだろう。けれど俺の下で喘ぐ木月を見ると、やめることなんて出来なかった。

「テメェ…九ヶ島ぁ! ぜってぇぶっ殺す……あっ」

天谷のためならなんでもするだろうという俺の考えは正しかった。木月は今、ズボンをおろされシャツがはだけた状態で俺と繋がっている。無駄のない引き締まった体はとても扇状的だ。今まで見てきたどんな木月とも違う。

「いや…っ、もうやだ…やめ…!」

木月は、泣いていた。俺に向かってやめてくれと懇願している。でも俺は自分を止められない。胸は傷んだが、それ以上に性欲が勝っていた。こんなんじゃ俺は全然足りない。ちっとも満足出来ない。
まるで発情期のオスのように木月を求め、俺は何度も彼を貫いた。こんなこと初めてだ。快楽に強欲になり自分を制御出来ていない。
もはや我慢することさえなくなり無防備に声を洩らす木月は、俺の興奮材料にしかならなかった。

「いたっ…痛い!」

痛みと悔しさで滲む瞳は俺を映しているだろうか。ぼやけた視界の中、木月はまともな思考を失いかけているように見えた。

ああ、やっぱり俺は酷い男だ。
こんな風になった木月を見ても、まだ行為を続けている。でもそれには理由があった。

俺は涙でぐちゃぐちゃになった木月の顔を両手でつかみ、のしかかるようにして抱きしめる。そしてもう意識のない木月の耳元に口を近づけ、優しく囁いた。









「好きだ、圭人」








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あきゅろす。
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