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ストレンジ・デイズ



で、これがその結果。

いやあ自分でもビックリした。まさに劇的なビフォーへのアフターだ。化粧ひとつでここまで変われるなんて。もしかしたら俺は女に生まれたほうが幸せだったのかもしれない。

「やっぱり私の目に狂いはなかったんだわ……」

妹の手がわなわなと震えている。ヤバい、これはもしかして。

「お兄ちゃん! いますぐ最神学園に入学よ!」

やっぱりぃぃぃぃ!

「いやちょっと待てってば! もう受験もとっくの昔に終わってるし、今さら無理だろ! ゆーじ(父)が許してくれるわけないって!」

「大丈夫、パパには了解もらったから」

「は?! なんだよそれ、どういうことだよ!」

テンパる俺に天使の笑みを見せる怜悧。初めて怖いと思った。

「パパは最神学園に多額の寄付をしてるのよ。その関係で、ちょっとね」

「ちょっとね、ってそれ裏口入学だろ! ダメ、そんなの絶対許しません。不正反対!!」

「今さら遅いわよ」

「な、なんで?」

「だってもう編入しちゃったもーん」

「はあぁぁ!?」

あまりのことに叫ぶ俺。それを悪びれもせず見つめる妹。血の気がひいた。

「嘘だろ……、つうか祐司お前……」

俺の父は昔からちょっと子供にかまいすぎるところがあったが、いたって普通の父親だった。よもやこんな破天荒な計画にのるような人だったなんて。やはりゆーじも怜悧には弱いのだろうか。

「ね、お兄ちゃん。これだけ可愛かったら絶対バレないわよ、安心して。トミーも悩殺間違いなし!」

「冗談じゃない…… こんな姿、香月(カヅキ)やひびきに見られたら……」

いや、もしかしたら俺だと気づかないんじゃなかろうか。そっちの方が嬉しいけど。

「お兄ちゃんすごく可愛いわよ。世界中の誰よりもね。だからトミーに復讐して! 怜悧の一生のお願い!!」

ああまたそんな泣きそうな目で俺を見るー…。

「……だめ?」

だからそんなふうに小首を傾げるのは反則だってば!

「……………………ゎかったょ」

「ホントに!?」

俺の小さな小さな了承を聞き洩らさず、怜悧は俺に思い切り抱きついた。

「ありがとう! お兄ちゃん、大好き!」

……しょうがない、これも可愛い妹のためだ。
俺はこの日ほど、妹に弱い自分を恨んだことはなかった。


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あきゅろす。
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